IIJ主催イベント『IIJmio meeting #7』:

「SIMフリースマホに潜む落とし穴」や「iPhoneとVoLTEと中継電話の関係」などを解説

2015年4月、インターネットイニシアティブ(IIJ)が「IIJmio meeting #7」を大阪と東京で開催した。

今回のイベントでは、初心者向けの「スマホメールの引っ越し方」、技術スタッフによる「iPhoneでVoLTEと中継電話を併用した場合の挙動」「MVNOとSIMフリー端末の問題」の3つがトークテーマとなった。モバイルビジネス通信では、4月25日に行われた東京会場の模様をお届けする。

なお、講演資料はIIJのエンジニアによる公式blog「てくろぐ」内で公開されている。

キャリアメールが利用できないMVNOの弱点、その対策と課題
IIJ 堂前氏

最初に登壇した堂前氏は、MVNOを利用する初心者がつまづきそうなポイントをやさしく解説する「みおふぉん教室」の担当となっており、今回は「スマホメールの引っ越し方」をテーマとして取り上げた。

まず、MVNOの弱点として「キャリアメールが利用できない」「音声通話の割引サービスがない」「LINEのID検索ができない」点を挙げた上で、キャリアメールが使えなくなる問題への解決策として「別のメールアドレスを取得して友人に変更の連絡」をすること、その際には念のため「キャリアが提供する迷惑メールフィルタの設定変更」も依頼することが示された。

ただし、一部のウェブサービス等では、携帯メールアドレスの入力欄に「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」などキャリアアドレス以外を入力できないよう制限されているところもあり、この場合は回避ができないと、対策には限界があることもあわせて説明された。

堂前氏 講演資料(一部抜粋)
iPhoneのVoLTE開始で「みおふぉん」もVoLTE通話可能に
中継電話「みおふぉんダイヤル」との併用では問題も発生
IIJ 宮本氏

続いて登壇した宮本氏の講演テーマは「みおふぉんダイヤルとiPhoneのVoLTEの話」。

4月9日からiPhoneでもVoLTEが利用できるようになったことを受け、IIJmioの「みおふぉん」での通話検証が行われ、その結果が披露された。

宮本氏によれば、SIMフリー版、NTTドコモ版とiPhone6/Plusで、「iOSのバージョンが8.3、キャリア設定がドコモ19.1」の端末で「みおふぉん」によるVoLTE通話が利用可能であるという。

ただし、IIJmioが提供している「みおふぉんダイヤル」と併用した場合に、発信してから通話がはじまるまで20秒ほどかかる問題も引き起こっているという。

「みおふぉんダイヤル」は、中継電話の一種で、相手先電話番号の前にプレフィックス番号をつけることで、従来の音声通話と同等(音声品質、相手先への番号通知など)ながら音声通話料が半額(通常30秒20円のところ、30秒10円)になるサービス。

電話を掛けてからつながるまで20秒程度かかる問題は「みおふぉんダイヤル」に固有の問題ではなく、他の中継電話サービスにおいても発生する共通の問題とのこと。また、IIJmioをはじめとしたMVNOではなく、MNOであるNTTドコモのSIMに差し替えても症状が同様で、iOSと中継電話サービスとの掛け合わせが引き起こす問題と考えられる。

問題を回避するにはVoLTEを無効にするしかなく、その場合はVoLTEのメリットである「発着信にかかる時間が短縮される」「通話中でもLTEデータ通信ができる」は享受できなくなってしまう点は留意が必要とのことだ。

宮本氏 講演資料(一部抜粋)
【下図】VoLTE非対応のLTE端末はCSフォールバックで3G回線に切り替え後、通話が始まる。同キャリア内(ドコモユーザ間など)の通話の場合、他社電話網にはつながらず自社網内で完結する。みおふぉんダイヤルの場合は、同キャリア内かどうかにかかわらず、いったんみおフォンダイヤル設備につながる。
【下図】VoLTEの高音質通話が可能となる場合
【下図】みおふぉんダイヤルが高音質通話とならない理由

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