先日、携帯基地局市場へ運送会社の佐川急便が参入というニュースが流れt。建物などへの設置交渉から施工管理、保守までを一括して手掛け、本業の物流に続く新たな事業の柱づくりを狙うというもので、いわゆる基地局エンジニアリング事業への参入ということになる。
MCAの年間会員制レポート「携帯電話基地局市場の現状分析と将来予測2007」によると、2006年度の国内携帯基地局の設備投資は、1兆3,499億円で前年比20.8%の増加となり、成熟化が加速する市場にあって成長力の高い分野といえる。背景には、以下の点が挙げられます。
①MNP(Mobile Number Portability)がはじまり、簡単に他社への乗換えができるようになったことで、3Gサービスの通信品質、ネットワークカバレッジの強化が競争上、重要になってきていること
②ボーダフォンを買収したソフトバンクが、4つのコミットメントの中で、「通信インフラ」を強化したこと
③13年ぶりの新規キャリアとしてイー・モバイルが参入し、基地局整備がスタートしたこと
順調な成長が続く基地局市場だが、現在、関係者の間ではこの市場に関し、今後も同じように成長が続くのかという見方について、議論が色々あるようだ。ある方は、3Gから3.5G、3.9G。そして4Gへと通信技術が進化するなかで、今後も順調な成長が続くとコメント。しかし、別の関係者は、フェムトセルなど数量ベースでは順調かも知れないが、金額ベースではそれほど伸びないと言うのだ。
いずれも、これからの基地局の技術トレンドからの視点ということになるが、個人的にもう1つも逃してならないアングルがあると思う。それは、携帯電話キャリアの収益力ということだ。
市場のパイが確実に少なくっている状況下で、各社の競争は激しさを増しており、今後売上が劇的に上がるという事態は考えにくい。年々、競争は激化し売上だけでなく、次第に収益力にも影響を及ぼす。そうなると、基地局投資の効率化ということは、市場全体の流れとして、当然想定されるべき事態だろう。
基地局の投資効率をどう上げる?そのソリューションを提供できるか否かが、参入ベンダー生き残りの1つの条件となるのではないだろうか。
▼参考資料
年間会員制レポート「携帯電話基地局市場の現状分析と将来予測2007」