KDDIは、端末価格を引き上げる代わりに通信料を引き下げる携帯電話の新しい料金体系を11月に導入すると発表した。月額基本料が従来に比べて44%、通話料が25%安くなるとしている。今後、利用者はこれまで通りのインセンティブ制度を利用した「フルサポートコース」と端末購入価格は高いが毎月の通信料金が安価な「シンプルコース」の2種類から選択できるようになる。 仮に新料金プランが市場で定着すると、端末の買い替え需要が減退し端末ベンダーは打撃を受けるという指摘がある。
ドコモと同様の仕組みを導入するとしており、今後、市場はどちらへいくのか注目されるが、今回のKDDIのプラン内容には色々問題や恣意性も感じるものの、選択肢が増えること自体は好ましいことではないだろうか。
携帯キャリアにとって、今回の措置は総務省の「モバイルビジネス研究会」の要望に応える形で行われたわけだが、現在の端末ベンダーやインフラ企業、コンテンツプロイダーなどの国際競争力という観点から考えると、市場オープン化は火急の課題と言える。
例えば、携帯電話端末は国内11社を合わせても世界で10%以下。コンテンツプロバイダーは、国内市場成熟化の余波で海外で出て行ったものの、あまり成功したという話は聞こえてこない。何もその責任が携帯キャリアだけにあるとは私は思わない。その理由は、明らかに健全な市場ではないということが分かっていながら、国や業界はそれを受容してきたわけだからだ。色々な関係者の方と話をするにつけ、世界をリードしているとしてきた日本の移動体通信産業は、実は『孤独の進化』を遂げてきただけだったのではと思ってしまう。
iモードが誕生した頃、我々のような会社には海外の携帯キャリア、ベンダーから多くの問い合わせをいただいた。理由はiモードのような先進的なビジネスモデルについて知りたいというものだ。その頃は、明らかに日本の移動体通信産業は世界をリードしていたと思う。しかし、今そうした企業の担当者と話すと一言「今の日本にはベンチマークするものがない」とにべもない。
2008年以降、移動体通信産業には従来の携帯電話やPHSに加え、WiMAXという世界標準のシステムが導入される。こうした新サービスが市場でどのくらい受け入れられかは分からないが、確実にいえること。それは、これまで以上にコンピュータ系の企業が台頭してくるということだ。単純に通信というカテゴリーだけでくくれない移動体通信産業の未来は通信とコンピュータという異文化の衝突が本格的に起きるのだと思う。
日本の国際競争力を強化 するために何が本当に必要で、逆に何を捨てなくてはいけないのか。
改めて考えさせられる。