車のエンジンをかけて断崖絶壁へ向けて思いっきりアクセルを踏み込む。どちらがブレーキをかけるのを我慢できるか。今のケータイ市場は、まさに『チキンレース』と呼ぶに相応しい状況だ。
競争激化で料金はどんどん下がり、果たして通信トラフィックを生業としてきたテレコム産業が産業としてこれからも成り立っていくのか。既に一部の携帯キャリアのトラフィック収入は赤字となっており、そうなることは最初から分かっていながら突き進んでいることに言い知れぬ不安を憶える。
もっとも海外の携帯キャリア、他の産業と比較すると、日本のテレコム産業は依然として高収益型といえるだろう。聞くところによると、新興国では先進国から中古の基地局をただ同然で輸入し、数千円/台の端末が流通、ARPU数百円でも収益をガッチリ確保しているという。
全く逞しい限りだが、果たして日本では今回の音声定額競争でひと段落となるか、それとも更にエスカレートしていくのか。各社、それぞれ他社の出方を伺う神経戦となっている。
一方、携帯キャリアのパワーが相対的に弱体化していくなか、これから端末ベンダーの逆襲が何かありそうな話も聞こえてくる。 コストが安価な海外端末ベンダーの採用、調達価格の引き下げ、調達量の削減など、もはや端末ベンダーの収入を保証する力を携帯キャリアは持ち合わせていないのだから、当然だろう。
水面下では、着実に地殻変動が起きているようだ。