モバイル市場における広告モデルの潮流

 Googleとのドッキングによって、広告収入がモバイルキャリアの新たな収益源として注目されている。個人的には、ソフトバンクの携帯参入が、ライバルのGoogle詣でを加速させた側面が大きかったと思っているのだが、結果としてドコモ、KDDIはポータルにGoogleを移植し、検索連動型広告など新たな収益を得ている。

 こうした広告収入拡大の流れは、当然だが通信トラフィックにキャップがはめられる状況にあって、これ以上同サービスだけでは収益を上げにくいということの裏返しでもある。

 複数のメディアによると、ドコモは3月下旬から公式サイトのメニューリストに「企業サイト」を設けるとしている。従来よりかたくなに拒んできた公式サイトのPR活動解禁の流れである。KDDIの家族間定額通話に触発されて、同様の措置を取る一方で、iモード利用料を値上げし、減収分をカバーしようとするなど、競争力維持を最優先に減収を最小限にしようとする同社の苦心が垣間見える。

 広告収入の動きが今後ますます本格化していくれば、新たな収益モデルの登場も予感させる。例えば、英国でMVNO事業者として昨年9月にサービスを開始したBlykは、加入者を16~24歳に限定し、広告(毎日6通程度)と引き換えに毎月SMS217通、通話42分を無料で利用できるプランを導入している。

 日本でも以前にツーカーが、通話前に広告メッセージを聞くことで、一定時間の通話が無料になるというサービスがあったが、ターゲットが限定されていること、そして音声ではなく広告メッセージであることが大きな違いだ。

 こうしたエッジの効いた広告モデルは、2台目需要が本格化してきている日本市場でも、アレンジすれば十分に契約者を獲得できる戦略なのではないだろうか。