(前回から続く)そもそも総務省が主導する周波数割り当ては、公正というか適切な方法なのだろか。
総務省は一連の公開説明会などの場で2社が提出した開設計画案について、総務省が電波監理審議会へ諮問し、答申を得て決定するプロセスについて、「総務省が評価した上で第三者(電波監理審議会)から意見をもらう。総務省はプロフェッショナルな立場から評価するので、しっかりした結論を導き出せると考えている」とコメントしている。
公の場でこうした発言をするあたり、ならば2.5GHzの免許割当で経営に行き詰まったウィルコムを選定し、更に遡れば2005年にはTDD方式の携帯新規参入では、それまで全く実績のないアイピーモバイルに免許を付与したもののサービス開始前に破綻してしまったことについて、どう総括しているのかと思ってしまう。
一方、ここ数回行われている周波数割当の流れを見ていると、2.5GHz帯ではKDDI系のUQコミュニケーションズが選ばれ、今回の携帯端末向けマルチメディア放送はドコモ系のマルチメディア放送が・・・・。そして、次の700/900MHzではソフトバンクが選ばれるという出来レースでは?とうがった見方をしてしまう。
こうした疑念が出ないためにも、透明で公正な決定プロセスを議論する時期に来ているような気がしてならない。
最後に「携帯端末向けマルチメディア放送」の免許を取得したマルチメディア放送の市場に受け入れられるかについて考えてみたい。
同社の計画によると、先行するBeeTVの例もあり、次世代放送の月間利用料は300円程度と安価なので受け入れられるとしてるが、それならBeeTVとどのように棲み分けようとしてるのだろうか。そして、仮にBeeTVが成功しているというのなら、サービス単独でどのくらい黒字化しているのだろうか。
ワンセグは利用者に聞くと、携帯電話の必須のアイテムとして上位に挙がる。では、それほど使っているのかというと、どうだろう。これほど利用者の「欲しい」と実際に「使っている」の落差が大きい機能も珍しいのではないだろうか。
事業化の道が、決して平坦でないことだけは間違いなさそうだ。