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新星堂の携帯販売進出

 日経新聞の報道によると、音楽CD販売の新星堂は携帯電話の販売事業に参入するとの報道があった。携帯電話で音楽を楽しむ人が増えていることに加え、CD需要落ち込みを携帯販売によって補う狙いががあるとしている。

 今後、同社では1年後に約160の全店に広げ、米アップルの「iPhone」など高機能携帯電話を中心に販売。パートナーとしてソフトバンク系代理店の大手であるテレコムサービスと協力していくとしている。

 こうした報道を受け、ジャスダックの新星堂(7415)の株価は8月31日、前日比+46%の大幅高を記録するなど、収益基盤拡大への期待感が寄せられた。

 音楽CD市場の苦境は、今年8月のHMV渋谷店閉鎖の報道からも明らかだが、日本レコード協会によると2009年の音楽CD生産額は2008年比15.5%減の2,460億円。11年連続で前年実績を割り込んでいるような状態だとしている。

 一方、携帯の販売現場は複数の携帯キャリアを扱う併売店が減少し、量販店とキャリアショップと呼ばれる専売店に2極化が進んでいる。携帯電話端末の販売低迷の影響を受け、販売店の苦境は続いており、伊藤忠系のITCネットワークやティーガイアなどは中国市場へ進出したり、SIMロック解除を見越しカメラ店のキタムラやヨドバシなどは、中古携帯の取扱いをはじめたりしている。

 こうしたなか、CD販売に強みを持つ今回の新星堂は、店舗の付加価値化や個性化という意味でユニークな取り組みと言えそうだ。