Research Note:

海外の再編の影響受け地殻変動進む国内モバイルインフラ市場

 PM:ある国際的なソフトベンダーとの定例ミーティングにて。

 国内のモバイルインフラ市場は、長らくNEC,富士通の2強がドコモを中心にシェアを抑え、KDDIでモトローラと日立、ソフトバンクで日本エリクソンとノキアシーメンス、イーモバイルが日本エリクソンとファーウェイといった外資系が競っているような状況にある。

 この他にも、例えばドコモには日本エリクソン、ソフトバンクにはNECなども機器を納入しているが、シェアはさほど大きくない。

 その関係者曰く、地殻変動の主役はノキアシーメンスネットワークス((以下、ノキアSN)だという。

 同社は、2007年4月にノキアとシーメンスが母体となって設立された。余談だが、それまでシーメンスはNECと海外インフラ市場で協力関係にあり、当時はその関係がどうなるのかと騒がれたことを思い出す。。

 その後、ノキアSNはLTEやモバイルWiMAXの技術開発を強化する一方で、収益的には中国インフラベンダーなどの攻勢もあり、厳しい状況が続き、リストラを設立当初から強いられることとなる。

 しかし、2010年に入り同社は『攻め』にギアを切り替える。7月にモトローラの通信機器部門を12億ドルで買収すると発表したのだ。これにより、ノキアSNはモトローラから、iDEN事業とネットワークインフラ関連の知的財産以外のほぼ全ての無線ネットワークインフラ事業を獲得した。

 日本でも、その影響は大きいといわざる終えない。ドコモには提携先のパナソニック経由で、ソフトバンクには直にそれぞれビジネスを展開してきたが、モトローラはCDMA基地局の供給や昨年にはLTE基地局ベンダーとして選定されるなど国内ではKDDIと関係が深く、今回ノキアSNは3大携帯キャリア全てとの取引関係を手にしたことになる。

 これは、国内の外資系インフラベンダーでは最大手の日本エリクソンでもなし得ていないことだった。

 これ以外にも、ここ数年の中国系インフラベンダーの躍進も目覚しく、LTE時代にインフラ市場の行方は、しばらく流動的となりそうだ。