Research Note:

ドコモ公衆無線LAN無料化に観る地殻変動の予感

 AM:ある端末ベンダーとの定例ミーティングにて。

 ドコモが10月より公衆無線LANサービスの月額使用料が1年間無料になるキャンペーンをスタートした。

 12月末までの新規契約者が対象で、同社のインターネット接続サービス「mopera U」のオプションサービスとして提供している「U『公衆無線LAN』コース」の月額使用料を1年間無料にするというもので、対象は期間内の新規契約者となっている。

 ドコモの公衆無線LANサービス「Mzone」は全国に3,100カ所以上設置されており、駅やカフェ、ファストフード店などで、ベストエフォートの最大54Mbpsで通信が可能となっている。

 スマートフォンやタブレット端末のラインナップが一気に揃う秋冬端末の発表を前に、携帯より高速な公衆無線LAN網を開放し、加入者拡大につなげたいとい狙いがある反面、通常の携帯端末の数倍とされる大容量のトラフックをさばくには携帯網以外のオフロード先を予め確保しておく必要性に迫られているという事情もあるようにも思える。

 いずれにしてもスマートフォン時代を迎え、通信ネットワークは無線LANと同レベルのスピードを叩き出す3.9Gへスイッチしていくにせよ、もはや携帯キャリアにとってセルラー網だけに頼るインフラ戦略は限界に来ているということだろう。

 そして、それはiPhone/iPadのヒットで加速度的にトラフィック収容量が増加しているソフトバンクが新規契約者にFONのWiFiルーターを無料配布していることからも伺い知ることができる。

 ところで端末のトレンドが、いわゆるガラケーと言われる携帯キャリア仕様から国際標準のスマートフォンやタブレットへ移っていくことは、ARPUと言う側面からは、今後も収益拡大の可能性という意味で大きい。しかし、その反面これまでのiモードのようなプラットフォームの主導権は携帯キャリアが取りにくくなっていくことは間違いない。

 ある端末ベンダーの担当者によると、「国内で投入されるスマートフォンは、国内限定仕様でないから社内で了解が取れた」とコメントしている。

 少なからず、地殻変動が進んでいきそうだ。