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3.9Gの本格競争前に早くも選定された4Gの技術規格

国連機関の国際電気通信連合(ITU)は10月22日に4Gの携帯電話規格に「LTE」と「WiMAX」の両方式の発展型を採用することを決定した。ITUは2011年中に2つの規格の詳細を定め、2012年に正式に勧告を出すこととなっている。

 4Gは新幹線などで高速移動中でも通常の光ファイバーと同レベルの最大毎秒100Mbpsで受信でき、低速時には最大1Gbpsの超高速通信も可能とされている。

 実用化の時期に関しては、2015年以降と見られているが、国内ではLTEの普及を当面の課題と位置づけており、本格的な4G時代は2020年前後までずれ込むとの見方もある。

 LTEの展開では、今年12月にドコモが商用サービスを開始し、2012年7月にはソフトバンクモバイルが、12月にはKDDIがそれぞれ追随する予定だ。ドコモ以外はLTEの展開が2年程度遅れる訳だが、その間ソフトバンクとイー・モバイルは、現行設備を最大限に活かし下り最大42Mbpsを実現する「DC-HSDPA」で、そしてKDDIは下り最大9.2Mbps/上り最大5.5Mbpsの通信が可能となるEV-DOマルチキャリアやUQコミュニケーションズのモバイルWiMAXで対抗する構えだ。

 高速通信が「売り」のLTEだが、当初のデータ通信速度は、最大75Mbpsとなっているものの、これは一部屋内エリア限定で、屋外では37.5Mbps程度とされている。つまり、LTEでドコモが先行したとしても、通信速度では他社もあの手この手で十分に対応可能と言うことになる。

 まさに、これから3.9G時代の戦いが始まろうというタイミングにあり、4Gはその先ということになる。しかしながら「LTE」VS「モバイルWiMAX」という観点からは、今世界で繰り広げられる技術規格でどちらが大勢を占めるかということが、4G本格化の際にデファクトを勝ち取るために大切な要件だ。

 その意味から言えば、現時点では採用している通信キャリア数、対応端末などから、LTEが圧倒的に有利なポジションを占めている。LTEは国内キャリア4社全てが採用する他、世界的にも米国のAT&Tやベライゾンワイヤレス、英ボーダフォンなどの大手が採用を表明済みだ。

 これに対してWiMAX陣営では、国内ではKDDI系のUQコミュニケーションズが採用するが、海外では大手通信会社の採用が少なく、一部通信会社ではLTEへの乗り換えを示唆するような動きも出ている。

 劣勢を挽回するため、WiMAXは2012年に下り最大330Mbpsの「WiMAX2」を投入することで、高速化競争をリードしたい構えだ。

 更にここへきて、上記2規格に加え、同じLTEでも送信と受信で同じ周波数を使う「TD-LTE」と呼ぶ規格も勢力を拡大している。中国最大手のチャイナモバイルのほか、インドでも一部の通信事業者が採用を表明しており、将来的に一大勢力を築く可能性が高い。
 
 思いのほか早い段階で4Gの規格が決まったことで、今後機器の開発競争が激化することは必至の情勢で、グローバル市場を見据えた戦略策定が本格化していきそうだ。