モバイルの世代交代の呼称を巡る混乱

 3Gから3.5G、そして3.9G、4Gへとモバイル技術の世代交代が目まぐるしい勢いで進んでいる。バージョンがアップすることで、通信速度が高速化され、先進的なサービスを享受できるようになる。

 現在、日本では3GであるW-CDMAとCDMA2000技術をベースとした拡張システムが導入され、今年12からはドコモが3.9Gと呼ばれる「LTE」の商用化に踏み出す。

 こうした呼称について、米国では全国レベルのサービスを提供している携帯キャリア4社の1角であるT-Mobileが"3G"の「HSPA+」技術を「全米最大の4Gカバーエリア」と表現したことをライバル各社が非難する騒ぎとなっている。

 もともとT-Mobileは、iPhoneで加入者獲得に成功しているAT&Tの弱点である貧弱な通信ネットワークを揶揄する意味もこめてHSPA+サービスを「4G並みの速度」と表現してきたが、今回は明確に「4Gサービス」とアピールしているのだ。

 こうしたなか、実はもう1社米国には4Gを標榜しているサービスがある。クリアワイヤとスプリント・ネクステルが提供している「WiMAX」だ。もともと同事業はスプリント・ネクステルが「XOHM」という名称で展開していたものの、資金難から2008年WiMAX専業サービス事業者のClearwireへと移管し、更にはインテルやケーブル会社など新たな株主から資金調達する形で再出発が図られた。しかし、早くも今月に再び資金難から、従業員の15%を削減するリストラ策を発表するなど、先行き不透明となっている。

 対して日本では「LTE」は3.9Gだが、同レベルのスピードを発揮するイー・モバイルやソフトバンクの「DC―HSDPA」を同じように3.9Gや4Gと表現する向きはあまりないように思う。

 3.9Gや4Gといった呼称は、「スピード」だけではなく、より広い「技術革新」を指すものという共通認識の差なのかも知れない。