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米国ベライゾンによる「CDMA2000版iPhone 4」投入

 注目を集めてきた「CDMA2000版iPhone 4」がいよいよ米国ベライゾンから発売されることとなった。これまではAT&Tのみが独占提供してきただけに、これによってAppleとAT&Tの排他的提携が終焉を迎えたこととなる。

 基本的な機能やスペックでAT&T版iPhone 4と違いはないものの、Verizon版では、「Personal Hotspot」と呼ぶテザリング機能を備えている。これは、iPhoneをルーターのようにして使い、最大5台のWi-Fi対応デバイスでインターネット接続を共有できるというもの。

 価格は、いずれも2年契約を条件に16Gバイトモデルが199.99ドル、32Gバイトモデルが299.99ドルと、これもAT&T版と同じだ。

 米国最大の携帯キャリアであるベライゾンは、これまでCDMA2000方式を採用し、世界的にはマイノリティであった同陣営のリーダ的存在だった。

 しかし、2007年末同社は次世代ではCDMA2000に競合するW-CDMA系のLTEを導入すること発表し、世界の潮流をLTEに決定付ける原動力ともなった。

 先頃開催された「2011 International CES」では、LTEサービスに対応した10種類の端末を発表したが、そのうち4機種はAndroid搭載機を用意するなどLTEへと一気に舵を切ろうとしている。しかし、今回発売される「CDMA2000版iPhone 4」はLTEには対応していない。

 「CDMA2000版iPhone 4」の発売は2月10日からということだが、ネット上には早くも2011年中に1,000万台以上のiPhone契約者を獲得する(ベライゾン契約者数-約9,300万人)という予測データも出ている。

 これまでAT&T版iPhoneについては、通信ネットワークの貧弱さを指摘されてきただけに、利用者からは歓迎するコメントが数多く紹介される。

 通信料金については、現時点では明らかにされていないものの、次の焦点は定額制料金プランに踏み切るかどうかだろう。実は米国では昨年よりAT&T、ベライゾンとも、一部ヘビーユーザーのデータ通信量を抑える目的などから、従量制課金を導入している。

 そして、最大の関心は「CDMA2000版iPhone 4」が日本へ投入される可能性についてである。国内でCDMA2000を採用するのはKDDIだけだが、周波数など純粋な技術面からだけなら、そのまま持ってきて使うことは理論上は可能であろう。

 当然だが、導入にあたってそれ以外の政治的な側面の方が大きいだけに何とも言えないものの、憶測も含め期待を集めることになることは間違いなさそうだ。