世界的なスマートフォン旋風の立役者であるアップルのスティーブ・ジョブス氏の病気療養が発表された翌日、同社から2010年10-12月期の決算が明らかにされた。
それによるとiPhone,iPad,Macの販売が好調で売上・利益とも前年比7割を超える大幅な伸びを記録した。製品別の販売台数では、iPhoneが1,620万台(前年同期比86%増)、iPadが730万台、Macintoshは413万台(同23%増)、iPodは1,9500万台(同7%減少)と、iPhone、iPadの販売台数は過去最高を記録した。
iPhoneの好調な推移については、ほぼ想定通りだったものの、iPadの販売量が大きく伸びた点は少しサプライズだった。その前の7-9月期の決算ではiPadの販売台数の数字が低く、タブレット市場の需要を喚起できていないと指摘されてきたからだ。
一方、ジョブス氏の代わりに説明会の壇上に立ったCOOのティム・クック氏の発言にはいくつか注目される点があった。例えば、先頃ベライゾンからCDMA版iPhoenが投入されたことが明らかになったが、それに関連して同氏は、「iPhoneの独占販売契約は米国が最後であり、どの国のキャリアとも契約は残っていない」とするコメントである。
既にいくつかのメディアでは、CDMA版iPhoen投入に関してKDDIが動いているかのような論調や、iPhoenの供給基地となっておる台湾のメディアによる関係者からの日本供給についてのコメントなど、ややフライング気味となっている。
しかし、仮にKDDIが準備しているとしても、決してその過程が明らかになることはないだろう。徹底的な秘密主義を貫くアップルを相手にお気楽な発言を続けていた携帯会社がiPhoenを獲得できなかった事からも当然である。
それにしても、一説には就活をしている人の5割以上がスマートフォンを保有し、そのうち9割以上がiPhoenという時代だ。しかし、その一方でスマートフォン保有者の7割以上が通常の端末も持つ2台持ちという現実は、どう考えればいいのだろう。
バッテリーなど端末自体の改善点の他、通信ネットワークに対する不安や不満がまだ多いのが実情なのではないかと勝手に推測する。スマートフォン市場の歪な構造からの転換が、大きな意味におけるトレンドの1つというところか。