iPhoenやGalaxyなど、海外勢の攻勢を受けてきた国内端末市場だが、やっとFelicaや赤外線通信、ワンセグなど和製機能を搭載したスマートフォンの投入によって国内勢の巻き返しがはじまりそうだ気配だ。
最近ではIS03のシャープ製に続き、REGZAPhoneの富士通東芝、そしてNECカシオが年度内の投入に向け準備を進めているとの報道も見られる。おそらく、来年度早々にはパナソニックも本格投入していくるものと見られ、主要どころが勢揃いすることとなる。
但し、スマートフォンの登場によって回復傾向にある端末市場だが、SIMフリーへと市場構造が変化するなかで、これまでのように国内端末ベンダーが国内市場のほぼ100%を占めるという時代に逆戻りすることはない。
こうした状況は、端末だけではなく、携帯基地局などインフラ市場でも同じだ。
これまで携帯キャリアがインフラ設備にNTT仕様など国際標準技術に独自の仕様を織り込むことが、海外系ベンダーの参入障壁になってきた。ある海外系のインフラベンダーの担当者は、国内で営業力を強化するために最大の壁は『本社の説得』だと言う。海外ベンダーの本社としては、極東の島国の独自仕様にいちいち対応できないと言われ、携帯キャリアからは仕事をもらっても対応できないケースが多かったのだ。
しかし、先日のソフトバンクによる次世代XGPの「TD-LTE」や導入が進んでいるLTEでは、携帯各社がコスト削減の観点から独自仕様をできるだけ減らし、国際標準で運用していこうとしている。
尚、3Gサービスでも、ソフトバンクとイー・モバイルのインフラ設備は、ほぼ国際標準のまま導入されてきた。
壁がなくなるということは、品質や保守力なども大切だろうが、それ以上に重要となるのが価格競争力になる。その点では、国際市場向けにスケールメリットの最大化が享受できる海外系インフラベンダーにアドバンテージがあるのは明らかで、国内市場の8割程度を占めてきた国内勢には不利となる。
そうでなくても、ノキア不振によるマイクソフトOSの採用やカナダの通信機器メーカーであるノーテル破産など、世界市場で戦っている企業であってさえも生き残りが厳しくなってきている。
国内市場という内海で育ってきた国内系企業とって、本当の意味での外洋時代がはじまろうとしている。