このところ複数の訪問先で、iPhoneのドコモやKDDI導入の可能性について、意見を求められる機会があった。
国によって状況は異なるが、こまでiPhoneが1社にしか導入されていなかった代表的な国として、米国(AT&Tワイヤレス)、韓国(KT)、そして日本(ソフトバンクモバイル)があった。
しかし、周知のように最近、米国と韓国では1社体制は崩れ、更にはアップル自身が米国でベライゾン・ワイヤレスがCDMA2000版iPhoneの発表の際に、「これで1社独占契約の国はなくなった」と明言したのである。
また、最近のソフトバンクの決算発表の席でも、孫社長がアップルとは独占契約ではないとコメントしていることからも、ドコモやKDDIといったライバル会社からiPhoneが発売されても、契約上は何ら不思議はないということになる。
むしろ、国内でアンドロイド旋風が本格化する2011年度以降、スマートフォン市場においてiPhoneのポジションが相対的に影響を受けることは容易に想像できる。アップルとしては、勢いがあるとは言えシェア3位の携帯会社のみの供給体制でいいのかということは、当然のことながら考えるだろう。
一方、ドコモやKDDIにとってもiPhoneという存在は、ソフトバンクへの対抗上からも、依然として喉から手が出るほど欲しい『タマ』だろう。
両社は、このところスマートフォン化へと大きく舵を切っているが、共通しているのは、グローバル端末の採用へ向けて動き始めている点である。
背景には、アンドロイドOSという世界標準のプラットフォームが普及するなかで、世界中の端末ベンダーがスマートフォンを容易に開発できるようになったこと。そして、もう一つは携帯会社サイドで、これまで国際標準に対応していなかった周波数再編(新800MHz)が進み、容易にそうした端末を調達しやすくなったことが挙げられる。
国内におけるiPhoneのマルチキャリア化へ向けた条件整備が着実に進んでいることだけは間違いない。
◇関連情報
Column:米国ベライゾンによる「CDMA2000版iPhone 4」投入 (2011年1月13日木曜日)
https://www.mca-mbiz.jp/news/2011/01/iphone-1.html
Column:スマートフォンによって変容するモバイル市場の構図 (2010年11月23日火曜日)
https://www.mca-mbiz.jp/news/2010/11/post-36.html