ようやく、「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測」が発刊しました。制作が遅れ、ご予約いただいておりました関係各位には大変ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫びいたします。
さて、今回、調査レポートを制作する上で、基地局に関連するベンダ各社を中心に取材活動を行い、さまざまな"生の声"を伺うことができました。
基地局市場自体はモバイルキャリア各社が年間1兆5,000億円もの設備投資額を投下する中、1兆円程度を占める大きな市場になっています。
これらの市場には無線機やアンテナ、コネクタ、電源、蓄電池ベンダ、基地局工事を担当するエンジニアリング会社が参入し、キャリアのインフラ構築に一役買っています。
携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測を制作するにあたり、できる限り、調査レポートに"生の声"を盛り込みましたが、それでも掲載しきれなかった部分があります。それらの中で今回は携帯電話ネットワークの逼迫やKDDI(au)のLTE展開などを取り上げてみます。
携帯電話ネットワークの逼迫に関しては、ユーザ数の多いNTTドコモが逼迫しているといった声や、「iPhone」ユーザ増のソフトバンクモバイルが最も逼迫しているという声がありました。KDDI(au)のネットワーク逼迫については声があがらず、スマートフォンへの移行が遅れた結果、ベンダ各社はKDDI(au)のトラヒックが他キャリアに比べ、まだ余裕があるとみているのでしょう。
確かに現在のネットワークの逼迫やトラヒック急増は、キャリア各社によるフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が大きな要因とされています。しかし、携帯電話サービスは限られた周波数帯を利用するため、今後はユーザにも配慮が必要となるかもしれません。そのため将来的には節電ならぬ、節網(節ネットワーク)の考え方も登場することでしょう。
一方、KDDI(au)のLTE展開については、ソフトバンクモバイルが2012年中の開始とやや不明確ですが、現状ではKDDI(au)の2012年12月開始が最後発となる見込みです。KDDI(au)自体はロケットスタートを目指すといっていますが、実際にはLTE展開が順調に進んでいないのではないかという声も聞きました。
総務省総合通信基盤局の「無線局情報検索(2011年11月12日時点)」において、KDDI(au)は800MHz帯で関東エリア829局、九州エリア599局、東海エリア486局となっています。九州エリアでの基地局が多いため、こちらでKDDI(au)はLTE試験を行っているのではというベンダもいました。
また、NTTドコモは明確なLTEエリア展開計画を公表していますが、他キャリアに関しては今一つ不透明な状態です。そのためKDDI(au)はまだ、LTEエリア展開に迷いがあるのではと勘ぐる声もありました。LTEサービスはキャリア各社にとって、既存3Gサービスに代わる将来の基盤サービスとなる重要なネットワークです。
自社保有帯域すべてへのLTE化を前倒しし、早期にLTEへユーザを移行させたいNTTドコモ、LTEよりもiPhoneのトラヒック分散が課題のソフトバンクモバイル、EV-DO Advancedを導入しつつLTEのロケットスタートを狙うKDDI(au)。今後の各社のLTE展開に目が離せません。
「2015年度における携帯電話市場の動向と予測」
~キャリアの視点から2015年度の携帯電話市場を総合的に分析~
http://www.mca.co.jp/pay_contents/FormMail/forecast2015.html
「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測」
~基地局市場をキャリア・メーカー・エンジニアリング会社等多角的な視点からトータルに分析~
http://www.mca.co.jp/pay_contents/FormMail/mobileBasement&PartsMarket2011.html