イオンが2011年6月から販売を開始した月額980円のデータ通信専用SIMカード「b-mobileSIM」が好調なようです。当初は14店舗の試験販売でしたが、11月までに265店舗へ拡大したことにより、月間5,000~6,000枚の勢いで売れているといわれています。
b-mobileSIMのデータ通信速度は下り100kbpsとなり、動画ダウンロードなどには不向きではありますが、メールやネット閲覧には十分利用できる速度とされています。
現在、下り最大37.5MbpsのLTEサービス「Xi」を推進するNTTドコモも、低速でも低料金であれば、こうしたプランに興味を示す層があることを再認識したのかもしれません。そのためNTTドコモも2012年3月から、月額1,380円の下り128kbpsプランの提供を開始するに至ったのでしょう。
しかし、現状のb-mobileSIMは月間6,000枚の販売実績であり、単純に年間70,000枚の規模に過ぎません。決して、大きいとはいえない市場ではありますが、NTTドコモが参入する理由はどこにあるのでしょうか。とにかく、囲い込み優先が考えられます。小なりといえども、他キャリアにユーザを奪われないよう追随した可能性もあります。
また、本来、低速・低料金プランが好調な背景には、高止まりしている大手キャリアの料金プランに対するユーザの抵抗が考えられます。こうした状況を放置していると、将来的に通信料値下げにまで拡大する恐れもあります。そのためNTTドコモも追随することにより、値下げをアピールし、本格的な通信料値下げを先延ばしにする施策ともみえます。
NTTドコモが追随することにより、さらに低速・低料金プランは注目を集めることになるでしょう。そうなった場合、他キャリアも参入せざるを得ず、ますます低速・低料金プランが注目されるに違いありません。
データ通信専用SIM
キャリア名:日本通信 NTTドコモ
開始時期 :2011年6月 2012年3月
サービス名:b-mobileSIM 未定
利用料 :月額980円 月額1,380円
通信速度 :下り100kbps 下り128kbps
関連資料
「2015年度における携帯電話市場の動向と予測」
~キャリアの視点から2015年度の携帯電話市場を総合的に分析~
http://www.mca.co.jp/pay_contents/FormMail/forecast2015.html
「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測」~基地局市場をキャリア・メーカー・エンジニアリング会社等多角的な視点から トータルに分析~
http://www.mca.co.jp/pay_contents/FormMail/mobileBasement&PartsMarket2011.html