日本通信が2012年3月20日から、キャリア各社の過度なMNPインセンティブに対する公開抗議として、自社の音声付きSIMサービスすべてに1年間の最低利用期間を設定しました。日本通信の今回の措置はキャリア各社のMNPにおける多額のキャッシュバックが影響しています。
確かに報道発表やヒアリングで聞いたところによると、1回線あたり30,000であったり、50,000円であったり、果ては70,000円程度のキャッシュバックが行われているようです。こうしたキャッシュバックを悪用し、何度も契約と解約を繰り返すことでキャッシュバックと違約金との利ざやを稼ぐケースが多発しています。
日本通信によれば、2011年12月から2012年2月までの3ヶ月間で、新規契約後15日以内に解約したMNP利用数は520回線に達したといいます。前年同期のMNP利用数は2回線であったため異常な増え方とともに、キャリア各社のMNP競争が激化していることが伝わってきます。中には5回線を新規契約し、3日で解約と契約を何度も繰り返すユーザが増加しているともいわれています。
監督省庁である総務省はキャリア各社の自主的な対応策を待つしかないと、お手上げの状況です。ただ、これまでキャッシュバックの抜け道となっていたソフトバンクモバイルのプリペイド端末や日本通信の音声付きSIMサービスが1年未満の解約への違約金設定を実施しました。それに伴い、今後はキャッシュバックの悪用も沈静化していくものとみられます。キャリア各社が投下するキャッシュバックは、既存ユーザからの利用料が原資となっています。
ぜひともキャリア各社には自社ユーザから徴収した費用を有効活用して欲しいものです。
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