イーアクセス社名存続の真意

 ソフトバンクによるイーアクセス買収後の焦点として、今後注目されるのが、プラチナバンド割り当ての問題ではないだろうか。

 もともと、700/900MHzの周波数割り当てについて、総務省は1社1枠の割り当てを基本方針に臨んだわけだか、今回ソフトバンクによるイー・アクセス買収が行われ、実質その枠組みはわずか数ヶ月で瓦解してしまった。

 総務省による周波数割り当てから短期間で買収へと動き出したことで、関係者のなかには、その割り当てを待って仕掛けたのだという見方をする人もいる。

 しかし、仮にそうだとしても、そんなことをソフトバンクが面と向かって肯定することはないだろう。もしやってしまったら、周波数を返上しなくてはならないからだ。

 総務省の基本方針は、あくまで1社1枠なのである。

 では、今回の買収によってソフトバンクはプラチナバンドの一つを返上しなくてはならないかというと、そうとも言えないのではないかと思っている。

 何故なら、イーアクセスという会社は当面存続させる方針だからだ。

 つまり、記者会見の席上でイー・アクセスの社名を当面は存続させるという理由に、イーアクセスに愛着のあるファンがいるためと答えていたが、もちろんそれは否定しないが、実はそれ以上に獲得したプラチナバンドを返上しなくていいようにするには、少なくともソフトバンクに吸収することは避ける必要があるとの経営判断があったのでないかと推察する。

 ある関係者は.「今回の買収によるプラチナバンド返上の問題は、白か黒かと聞かれると、黒ではないグレーということだろうが、現在のスキームであれば、問えないのではないか」と言う。

 以前にあったソフトバンクによるイー・アクセスモバイルネットワークのMVNOしかり、ギリギリの線上をハンドリングしながら中央突破していく同社の真骨頂を、またもや今回見せつけられているような。

 今後の総務省を中心とした議論に注目していきたい。