ドコモ春モデル発表&ドコモスマートホームの行方

 NTTドコモは、2013年春モデルとして、スマートフォン・タブレット11機種、モバイルWi-Fiルーター1機種の計12機種を発表した。

 高いデザイン性が特徴のソニーモバイルコミュニケーションズ製「エクスペリアZ」や国内で初めて2画面のタッチパネルを備えたNECカシオモバイルコミュニケーションズ製の「MEDIAS W N-05E」を軸に、「スマートフォン for ジュニア SH-05E」以外の機種にはAndroid 4.1を採用し、 「スマートフォン for ジュニア SH-05E」と「MEDIAS W N-05E」「モバイルWi-Fiルーター HW-02E」以外はクアッドコアCPUを搭載している.

高速データ通信では、Xiが下り最大100Mbps対応へと進化し、そのなかでも「Ascend D2 HW-03E」と「モバイルWi-Fiルーター HW-02E」のファーウェイ製端末は下り最大112.5Mbpsをサポートしている。

 また、新たな取り組みとして発表されたのが、スマートフォンと家庭のAV機器を連携させることで、映像や音楽などのコンテンツを自由に視聴できる環境を提供する「ドコモスマートホーム」である。

 同サービスの提供にあたりドコモでは、専用のタブレット端末「dtab」(中国・華為技術 3月下旬発売)を用意した。携帯電話回線は非搭載だが、Wi-Fiには対応している。追加料金なしで、dマーケットのサービスを利用できるようになっており、ドコモでは9,975円の低価格(9月末までのキャンペーン価格。通常は2万5,725円)で一気に普及を目指す構えだ。

 この他、同サービスではドコモの動画配信サービス「dビデオ」「dアニメストア」、音楽配信サービス「dヒッツ」、YouTubeの動画を受信して再生できる超小型セットトップ・ボックス(STB)「SmartTV dstick」、地上デジタル放送などのコピー制御技術が施された動画を転送してタブレット端末やスマートフォンで再生することができるアプリ「Twonky Beam」なども合わせて提供される。

■今後の注目点
-iPhoneの在庫調整が終息した段階で春モデルが投入されるが、昨年末のようなiPhoneへの流出現象がどの程度緩和されるか。

-同社は、2015年にdマーケットで1,000億円の売上目標(現在は2,000億円程度)を掲げており、今回はその実現へ向けての第一弾となる。既に映像配信サービスの「dビデオ」が320万契約、アニメ専門サービスの「dアニメストアが22万契約、音楽PV配信の「dヒッツ」が33万契約といった会員を獲得しているが、果たして今回の強化策でどのくらい顧客を獲得できるか。

-その1つのトリガーは、dマーケットの他社利用者へのオープン化(現在はゲームのみ)となる。そして、ライバル各社(アマゾンなど)と伍して戦っていくためには、魅力的な品揃え&サービスと共に、物流網の整備が課題。

-これまで携帯回線を必須としてきたタブレット戦略から、一部修正の動き。携帯回線の非搭載端末を投入することで、ランニングコストの負担感をなくすというコンテンツ収益モデルへの転換は、ドコモにとっては画期的な試みだが、クローズ型(ドコモ利用者のみ)の「dtab」がどこまで普及するか。

-「dtab」登場によって、年度末商戦で回線とのバンドル販売(実質0円状態)が想定され、これによってアマゾンやグーグル、アップルといった先行するタブレット市場が一気に活発化していく可能性が大きい。

「dtab」もそうだが、Xiで下り最大112.5Mbpsに対応したのは中国のファーウェイであり、その点からも同社がドコモ端末戦略の一翼を担うポジションへアップしたと見るのが適当。今後両社の関係がインフラ面へも進んでいく可能性はないのか。

-2013年1月より順次対応していくとにアナウンスしていた「電話帳」「spモードメール」のクラウド化についてはどうなったのか。キャリアメールの対応不備は、ダムパイプ化を加速させることから、総合企業化を目指すドコモにとっては早期の対応が求められる。