情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA):

携帯電話の再資源化率は60%以上、金・銀・レアメタルなども回収

携帯キャリア各社が買い換え促進のためiPhone端末を中心に下取りを行いはじめたことで、利用者のあいだで中古携帯端末に価値があることが再認識されてきた。また、全国チェーン店の中には大規模な携帯買取キャンペーンを展開するところもあらわれるなど、中古端末の買取や下取りを巡って新たな動きが数多く出てきている。

そこで今回、携帯電話・スマートフォンのリサイクルやリユースの状況について、一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA)専務理事 小澤 昇氏にお話を伺った。その模様を前編・後編の2回に分けてお伝えする。

前編となる今回は、情報機器のリユース・リサイクルの現状について、RITEAが取りまとめた実績数値も交えお話いただいた内容を中心に取りまとめた。

2006年7月に設立された
情報機器のリユースとリサイクルに特化した事業者団体
――まずは、協会設立の経緯について教えてください。
小澤氏:
当協会は2006年7月に設立しています。設立当初は中古情報機器協会という名称でしたが、2012年5月に現在の一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA)へと変更しました。

RITEAの名称にも含まれているとおり、我々は「情報機器」のリユース(再利用)、リサイクル(再資源化)に特化した事業者団体です。パソコンや複合機、スマートフォンは範疇ですが、電気洗濯機や電気冷蔵庫等は違いますよ、ということです。

――毎年、情報機器のリユースとリサイクルの実績数値を発表されていますね。
小澤氏:
これはRITEAを設立した当初から一貫しているのですが、リユース・リサイクルの状況に関しては透明性が確保できるよう、数字が把握できることを重視しています。RITEAの会員企業になる条件のひとつに、リユースでの販売台数、リサイクルの回収台数、資源再利用状況などの数字を報告することを取り決めています。

2012年度のリユース情報機器販売台数は過去最高の322.4万台となりました。機器別で最も多いのがパソコンで、リユースパソコンの販売台数は210.1万台でした。国内の新品パソコン出荷台数は年間約1,500万台といわれていますから、およそ15%程度の規模になります。リサイクルされた台数は22.9万台でした。いずれも、RITEA会員事業者の取扱い数字の合計となります。

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――パソコンの場合、リサイクルよりもリユースされる方が多いのですね。
小澤氏:
リユースしやすい環境が整っている点が大きいと思います。Windows XPの製品サポートが2014年4月9日に終了することを受けて、現在は新製品への買い替えが進んでいます。これらXP搭載のパソコンは一定レベルの性能を持っているものも多く、リユースしやすくなっています。

また、使用済パソコンに正規のWindows OSをインストールできるマイクロソフト社の「Microsoft Authorized Refurbisherプログラム」「Registered Refurbisherプログラム」が浸透し、かつ事業者側で一定の保証を付けたリユースパソコンが充実したことで、今では新品パソコンと遜色ない状態でリユースパソコンを購入できるまでになった点も大きいでしょう。

もちろん、前提として、リユースに対する消費者の意識の変化も見逃せません。リユース事業者が適正にデータ消去や再製品化作業を行っていることが周知され、安心して購入できるようになったことが市場拡大を後押ししていると考えています。

携帯電話の再資源化率は60%以上、金・銀・レアメタルなども回収
――携帯電話の状況はいかがでしょうか。
小澤氏:
2012年度の数字ですが、従来型携帯電話の場合、リユースが4.0万台、リサイクルが31.3万台となっています。スマートフォンはリユースが6.8万台、リサイクルが4.6万台でリユースの台数が多いですが、市場全体でみるとリユースよりもリサイクルの方が台数が多くなっています。

とはいえ、スマートフォンが急速に普及していますから、今後はスマートフォンの回収台数が増加し、それにともないリユースの台数も増えるのではないでしょうか。

――リユースの場合、データ消去やクリーニングなどの再製品化を経てリユース端末として販売されると思います。リサイクルの場合はどのように処理されるのでしょうか。
小澤氏:
リサイクルもリユースもデータ消去の工程は同じですが、その後の処理が異なります。リサイクルは資源の回収が主眼になりますから、まずは処理工場で1台1台手作業で分解が行われます。

基板、液晶、外装などパーツ毎に仕分けが行われ、そこから溶鉱炉での製錬等を経て材料(成分)別に再資源化されます。

2012年度の実績値でいうと、従来型携帯電話の回収量は29.4t、うち実際に資源化されたのは18.5tでした。回収量のうちどの程度資源化されたかを示す資源再利用率は63.0%でした。

携帯電話は1台がおよそ100gですから、そのうち60g程度が再資源化されると考えて頂ければ分かりやすいと思います。

――6割以上が再資源化されるんですね。
小澤氏:
これでも、パソコンや液晶ディスプレイに比べると資源再利用率は低い方なんです。
――再資源化されるのは、どのような資源ですか。
小澤氏:
従来型携帯電話の場合、回収量が最も多いのが銅で、回収量全体に占める割合は約43%。ついでプラスチックが同約39%となっています。比率は少ないものの、金や銀のほか、レアメタルと呼ばれるパラジウム、ニッケルなどレアメタルも回収されています。
※本記事の詳細は「携帯・スマートフォンの中古端末市場動向」をあわせてご参照ください。
インタビュー:情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA)
  1. 携帯電話の再資源化率は60%以上、金・銀・レアメタルなども回収
  2. データ消去ソフトの認定では厳格な審査を実施、その方法とは