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NTTドコモの純増トップのカラクリ考

1.純増トップ獲得

2013年12月の純増競争で、NTTドコモが2011年12月以来の純増シェア1位の座に返り咲いた。各社の純増数は、NTTドコモが27万9,100件、SBM(ソフトバンクモバイル)が22万4,300件、KDDIが22万2,600件。MNPの利用件数では、ドコモが5万1,000件の転出超過(マイナス)となる一方、au(KDDI)が4万3,300件、ソフトバンクモバイルが9,400件の転入超過(プラス)になった。

シェアトップとなった理由について、ドコモは、「iPhone 5s/5cの在庫を潤沢に確保できたことやAndroidスマートフォンの新機種が出揃ったこと、そしてキャンペーンを実施したことで、新規契約が伸びた」点を挙げている。

前回トップとなった2011年12月と言えば、ソニーの携帯ゲーム機が発売された影響で一時的に純増数が増加するという特殊要因が理由だったが、先のコメントを聞く限り、今回は隠し技なしという説明だ。

しかし、本当にそうなのだろうか?ちょっと気になって電気通信事業者協会(TCA)のデータを眺めてみると、大本営発表とは異なる別の理由が透けて見える。

2.本当の理由はMVNO!?

今年1月10日に発表されたTCAの2013年12月の携帯電話事業者別契約者数によれば、NTTドコモは約28万の純増のうち、実に85%程度の24万を関東甲信越で獲得していることが分かる。通常、同エリアの純増比率が半分程度であることを考えれば、12月は異常に高いと言えるだろう。

また、iPhoneの販売が好調ならば、TCAにあるドコモ(iモード/spモード)の2013年12月に契約数が1万3,600件の純減というのも腑に落ちない。iPhoneの契約には、「SPモード」の契約が必須だからだ。

以上の点から推測できることは、純増の最大の要因はMVNOの数字が大きく貢献しているのではないかということだ。ドコモのMVNOの純増は、関東甲信越の数字としてカウントされていることは、広く知られている。MVNOであれば、SPモードの純増にも寄与しない。

3.MVNOの貢献度

仮にMVNOが純増の大きく貢献したという仮設に立ったとき、次の関心事はドコモの純増28万のうち、どの程度がMVNOで占められるのかということである。当然だが、それについての確固たる情報はないわけだが、これまでの純増データから推計すれば、半分程度はMVNOではないかと推測される。

ドコモには、格安SIMと呼ばれるMVNOが多数存在しており、最近では音声サービスを提供するところも出始めてきている。ドコモとしては、決して喜んで提供しているわけではないだろうが、今後の純増競争という観点から考えるとデメリットばかりではなさそうだ。

尚、2013年通年での純増数は、ドコモが119万3,500件、KDDIが279万9,600件、SBMが343万7,500件になった。また、年間MNPでは、KDDIが96万2,100件、SBMはソフトバンクは46万8,200件の転入超過だったのに対し、ドコモは143万4,000件の転出超過であった。

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