KDDI(au)はスモールセルに注力してきたのに対し、NTTドコモは多セクタ化(6セクタなど)によって、LTEエリアの拡大よりも、都心部などの高トラフィックエリア対策を重点的に推し進めてきた。
スモールセル開発はauに先行したが、多セクタ化に注力するDCM
しかし、KDDI(au)の急速なLTEエリア拡大に伴い、NTTドコモは方針転換を迫られることになる。トラフィック対策と同時にエリア拡大も行わなければ、先行していたLTEサービスでKDDI(au)に後れを取ってしまう。当時ある関係者によると「NTTドコモのネットワーク関連部門ではKDDI(au)のLTE展開を把握していたが、大部分を占めていた既存3Gユーザをないがしろにはできず、頭を悩ませていた」という。
余談になるが、スモールセル(ピコセル)でいえば、実はNTTドコモはKDDI(au)よりも以前にスモールセルを展開していた。2003年にスモールセルのような基地局を設置し、2006~2007年にはピコセルやフェムトセルも実用化した。NTTドコモがピコセルと呼ぶ小型基地局「BS-2101」は2009年8月から導入されている。
しかし、NTTドコモのスモールセルは主にルーラルエリアを中心に設置しているため、都市部にも積極展開するKDDI(au)のピコセルとは、そもそもの考え方が異なっていた。
「スモールセルをめぐるキャリアおよびベンダ各社の戦略と市場展望」 モバイルキャリア各社の基地局展開とセル構造、東京23区内の基地局設置状況に加え、エリクソン・ジャパンやNSNなどの無線機ベンダ、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンなどデバイスメーカ、コムシスグループや協和エクシオなどの工事会社の戦略も網羅した調査レポート。 |
〔キャリア各社のスモールセルへの取り組み〕
1. LTE-A登場で存在感が増したスモールセル
2. エリア補完からトラフィック対策へもピコセルの用途を拡大したau
3. スモールセル開発はauに先行したが、多セクタ化に注力するNTTドコモ
4. スモールセル展開にWCPのクラウド基地局を用いるSBM