現在、キャリアの設備投資に大きな影響を与えると注目されている動きは、NFV(Network Functions Virtualization)だ。
その背景のひとつには、スマートフォンの普及による急増するトラフィック、それとは逆に低下するARPUなどキャリアの経営環境が厳しさを増していることが挙げられる。
通信機器ベンダにとって「諸刃の剣」
NFVは、これまでアプライアンスであったネットワーク機器を仮想化基盤上でネットワーク機能を実現する汎用サーバに置き換える取り組み。それによってコスト削減、柔軟なネットワーク構成、迅速なサービス提供などが可能になると期待されている。
しかし、NFVによるネットワーク機器のコモディティ化は、通信機器ベンダにとって「諸刃の剣」となる可能性がある。それは、これまでの通信機器ベンダが提供してきた高価な専用ネットワーク機器が安価な汎用機器に置き換わり、市場自体が縮小する上に、新たな競合が参入して来る可能性もあるからだ。
NFVの視点を踏まえて、キャリアのネットワーク設備投資、および各ネットワーク機器の市場を予測したMCAの調査レポート「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2014年度版~NFVで大きく変貌するキャリアの設備投資動向と通信インフラ機器市場を予測」から、キャリアの設備投資とインフラ機器市場の動向を2回にわけてお届けする。第1回となる今回は主要通信キャリアの設備投資状況を取り上げたい。
今後は減少傾向と予想される
日本の通信業界は、電力系事業者を除けば、事実上NTT、KDDI、ソフトバンクという3つのグループに集約されている。
各グループの設備投資は、低落傾向にあるNTTグループ、5,000億円を中心に前後しているKDDIグループ、増加傾向にあるソフトバンクグループという色分けになる。ソフトバンクグループは、基地局建設といったモバイルへの積極投資とWCPやイー・アクセスの買収などのM&Aによるものだ。
2013年度の設備投資額は、3グループおよびそのほかの通信キャリアの投資額を合算すると2兆7,500億円に達した。
各グループの設備投資推移 |
しかし、今後の設備投資は、ソフトバンクグループを含め総じて各グループとも減少傾向になると予想される。
それは、これまで各グループの設備投資を支えてきたモバイル、特に基地局投資が一段落する、また、グループ内で進行しているネットワーク統合化の効果も現れるからだ。さらに、NFVと言ったネットワークの仮想化の影響も大きいだろう。
本記事の詳細は「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2014年度版~NFVで大きく変貌するキャリアの設備投資動向と通信インフラ機器市場を予測」をあわせてご参照ください。 |