NTTドコモが、世界主要ベンダ3社とネットワーク仮想化の実証実験に成功したことを発表するなど、注目を集めるNFV。キャリアの設備投資にも大きな影響を与えるとみられる。
そこで、通信機器市場の現状について、NFVで大きく変貌するキャリアの設備投資動向と通信インフラ機器市場を予測した株式会社MCAの調査レポート「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2014年度版」をもとに迫っていきたい。
日本の通信機器ベンダは海外ではすでに全く存在感がないが、国内でも徐々に海外ベンダに市場を奪われつつある。今回の調査結果でも通信キャリア向けの通信機器市場における海外ベンダのシェアはすでに40%を超えている。
その背景には、IP化に伴うキャリアのネットワークのコモディティ化がある。つまり汎用の通信機器を使い、いかに安く、大量のトラフィックをさばくかが最重要課題となり、そこにはNTT仕様に基づく、特殊仕様品というかつての参入障壁は存在しない。その結果、勢い国際規格に則った低価格の海外製品が国内の通信ネットワーク市場を席巻する事になった。
その意味で、ネットワーク構成とそこで使用される機器について差別化が難しい時代になっている。つまり、どのキャリアも基本的なネットワーク構成自体は似たり寄ったりという状況になったと言っても良い。
ただ、キャリア独自のネットワーク・アーキテクチャーがなくなってしまった訳ではなく、実際は汎用品を使いながら独自の機能や仕組みを盛り込んではいる。結果、海外の汎用製品が導入する場合でも、そのSIをNECや富士通と言った日本のベンダや商社が担当するケースが多いのは、そういった事情からである。
ドコモのLTEコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)は、NSNがグローバルに展開しているハードウェアやソフトウェアを、富士通がインテグレーションして提供するというもの。さらに、同じくドコモのLTE基地局でもPSNが提供している無線機はNSN製である。
キャリアとベンダとの関係で、もうひとつ特筆すべき点は、海外ベンダと国内ベンダのキャリアへの対応姿勢の違いだ。
国内ベンダは、個々のキャリアの細かい要求へも対応するが、海外ベンダはいちいちローカルな顧客の要求に応じることはほとんどない。
逆に海外ベンダは、自社のコンセプトや製品仕様に沿ったネットワーク構築やサービスをキャリアに押し付ける傾向が強い。それは海外ではキャリアとベンダの技術力に大きな差があるからだ。ドコモが国内ベンダの製品を採用するのは、海外ベンダを最初から排除している訳ではなく、ドコモの特別な要求に応じられるのは国内ベンダしかいないというのが実情だろう。
本記事の詳細は「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2014年度版~NFVで大きく変貌するキャリアの設備投資動向と通信インフラ機器市場を予測」をあわせてご参照ください。 |