NFVで大きく変貌するキャリア設備投資・インフラ機器(2):

減収続くNTT東日本、今後の設備投資動向は?

日本の通信業界は、電力系事業者を除けば、事実上NTT、KDDI、ソフトバンクという3つのグループに集約されている。各グループの設備投資は、低落傾向にあるNTTグループ、5,000億円を中心に前後しているKDDIグループ、増加傾向にあるソフトバンクグループという色分けになる。

本記事では、NTTグループのNTT東日本に焦点を当ててみたい。株式会社MCAの調査レポート「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2014年度版」から、同社の現況及び設備投資状況をお伝えしたい。

レガシー系サービスの減収をIP系では補いきれない状況が続くNTT東

NTT東日本の売上高をみると、レガシー系のサービスの減収をIP系のサービスの増収で補いきれない状況が続いている。2011年度の1,000億円を超える減収は、IP系の収益の伸び悩みに起因している。2012年度は200億円の減収と額は圧縮したものの、減収傾向に歯止めがかかっていない。2013年度も500億円近い減収を見込んでいる。

NTT東 事業別売り上げ実績推移(単位:億円)
(出典:MCA調べ)


ただ、長期契約者を優遇する施策の投入などにより、解約率は改善傾向にある。NTT東日本のフレッツ光の解約率は、2013年1~3月期は1.44%の水準だったが、4~6月期は1.24%、7~9月期は1.09%、10~12月期は1.03%と改善しており、純増数の回復と利益の確保につながっている。

NGN網と光エリア化の完了で今後の設備投資も減少傾向

現在NTT東西の通信設備への投資は、ほとんどがフレッツ光などIP系サービスに使われるものが中心になっており、加入電話網への新規投資は既に10年ほど前に「原則的に停止」している。メーカーにとっても需要の少ない電話交換機を保守、維持するために、技術を継承するのは大きな負担になっている。

設備投資額には、アクセス網光化投資を含んでおり、2005年度以降加入者光設備投資(2005年度1,160億円)については「音声伝送」から「専用」へ変更している。

フレッツ光の提供エリアが2013年度末に99%と基盤がほぼ完成したことで、設備投資額もピーク時の4600億円から2013年度は3500億円まで抑えている。NGN網の構築、光エリア化の完了によって、今後も設備投資は減少傾向となる。

ただし、ネットワークの高度化施策は引き続き実施される。

ここではNTT東日本の概況を要約してお伝えしたが、NTT東日本の詳細や、NTT西日本・KDDI・ソフトバンクなど他社の提供サービス、ネットワーク構成、設備及びネットワーク投資動向など、詳細については株式会社MCAの調査レポート「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2014年度版」をご覧下さい。

本記事の詳細は「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2014年度版~NFVで大きく変貌するキャリアの設備投資動向と通信インフラ機器市場を予測」をあわせてご参照ください。
NFVで大きく変貌するキャリア設備投資・インフラ機器
  1. 日本の通信機器市場でも存在感増す海外ベンダ、国内ベンダと異なる製品コンセプト
  2. 減収続くNTT東日本、今後の設備投資動向は?
  3. 通信キャリア向け国内IP関連機器市場の推移
  4. 国内通信キャリア向けIP関連機器のメーカーシェア動向