DVDレンタル大手のゲオが「独自格安SIM」と「専門店舗」を軸にモバイル事業を積極化させている。それぞれの軸についての動きを前編と後編の2回に分けて取り上げていく。専門店舗の動きをまとめた前編に続き、後編では「独自格安SIM」の観点から、同社の取り組みを見ていきたい。
今年4月から、NTTドコモのXi/FOMAネットワークに対応したオリジナルブランドの格安SIM「Smart G-SIM」の販売を開始した。ゲオショップ約1000店舗で販売が行われている。
「Smart G-SIM」 |
格安SIM単体のパッケージは、高速通信が行える1日あたりのデータ量に応じて月額880円(税抜/以下同)または1,278円の2つのプランが用意されている。
「Smart G-SIM」料金プラン(格安SIM単体) | ||||||||||||||
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(税抜) ※当初6月末までの期間限定で速度制限容量を増量していたが、7月以降も恒常化する ※ユニバーサルサービス料が別途必要となる |
格安SIM単体とは別に、Wi-FiルーターとSIMをセットにした「Smart G-SIM for Wi-Fi by so-net」も提供されている。富士ソフトの「FS010W」と「Smart G-SIM」を組み合わせたもので、下り・上りともに最大12Mbpsの通信が月2GBまで行える「プラン2G/month」が月額1,833円となっている。
「Smart G-SIM for Wi-Fi by so-net」 |
Wi-Fiルーターの機器代金(31,000円)は月額料金とは別に24回割賦払い契約で毎月支払う必要があるが、月々の割賦代金相当の割引が適用されるため、2年間利用することで実質無料となる。
「Smart G-SIM for Wi-Fi by so-net」料金プラン(Wi-Fiルーターとのセット) | ||||||||||||||
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(税抜) ※ユニバーサルサービス料が別途必要となる |
なお、6月末までの期間限定で「Smart G-SIM」のデータ容量増量、「Smart G-SIM for Wi-Fi」の通信速度増速が行われているが、いずれも7月以降の恒常化が決定している。
以前より同社ではNTTコミュニケーションズの「OCN モバイルONE」も取り扱っているが、オリジナルブランドのSIMパッケージ製品は今回が初めての投入となる。なお、「Smart G-SIM」は、ソネットと協業して製品化が行われた。
格安SIMに力を入れる理由として、中古携帯電話・中古スマートフォンの取り扱いが順調に拡大し、端末とのセット販売が見込めるようになった点が挙げられる。
ゲオが中古携帯電話の売買を本格的に開始したのは2011年ごろ。以前からゲームやDVDなどパッケージ商品の中古品を取り扱っており、そこで培った中古品取扱ノウハウが活かせる新たな商材を検討する中で携帯電話に白羽の矢が立ったという。
2014年4月現在、中古携帯電話の買取はほぼ全店にあたる1080店舗、買取とあわせて販売も行っている店舗は920店に達している。中古端末の販売インフラが整ったことで、端末との親和性が高い格安SIMにも本腰を入れたとみられる。
同社によると「Smart G-SIMを購入された方の約6割が、中古携帯・スマホとセットで購入している」状況だという。6月中旬以降は「格安スマホつくれます」とのキャッチフレーズを掲げて提案型の売り場を展開するとともに、SIMカードと中古端末を同時購入した場合に割引を行うキャンペーンを6月末まで実施し、引き続きセットでの拡販を進める計画だ。
一方、Wi-Fiルーターとのセットプランを提供する理由の1つとして同社が挙げたのが「ゲームユーザーにネット環境を提供すること」。ゲーム機器の通信機能を利用したいが自宅にネット環境がないゲームユーザー向けには、手軽にネットにつなげられるWi-Fiルーターのニーズがあるとの判断からだ。ゲームソフトを新品・中古ともに取り扱い、ゲーム利用者に対してリーチできる環境にある同社ならではの施策と言えるだろう。
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