9月に入り新型iPhoneの登場が噂されるなか、携帯各社はLTE基地局の展開を加速させている。各社の競争ステージは、音声サービスでは完全に横並びとなり、わずかにパケットサービスで差別化が図られている程度である。そうしたなか、音声定額の普及は、携帯会社の収益面にプラス効果を及ぼす一方で、MOU(Minutes of Use:契約者一人当たりの平均通話時間)は2倍程度に増加するなど、改めてモバイルネットワークの競争力が注目されている。
そこで今回のスナップショットでは、携帯各社のLTEに注目し、なかでも各社が保有する周波数との関係から見える特徴について述べてみたい。
携帯各社の帯域別LTE基地局数(2014年5月24日現在) |
(出典:MCA「モバイルキャリア各社のLTE基地局のエリア展開実態および 戦略に関する調査 2013-2014(全編)」) |
上記のデータは、総務省のサイトを参考に、2014年5月24日時点のデータを独自分析したものである。
上記のグラフにあるように、携帯各社の帯域別LTE基地局の展開を見ていくと、NTTドコモは2GHz帯を柱に、800MHz、1.5GHz、1.7GHzへ幅広くLTE化を進めているのに対し、KDDI(au)は800MHzと2GHz帯を中心に展開していることが分かる。それに対して、ソフトバンクはLTEの展開そのものが遅れているが、その問題をグループ会社のワイモバイルやWCPのインフラでカバーしている状況にある。
次に、これを各社の周波数帯別のLTE化率で見ていきたい。当初から1.5GHz帯をLTEからスタートしているNTTドコモとKDDI(au)だが、NTTドコモは主力の2GHz帯が76.6%なのに対し、KDDI(au)は800MHz帯と2GHz帯の両方で既に100%を達成している。そして、ソフトバンクのLTE化率は43.7%と低いものの、ワイモバイルが78.4%、WCPはTDD-LTE100%という状況となっている。
以上のように、携帯各社がそれぞれに保有する周波数帯別のLTE化率という観点からは、LTE展開で先行したNTTドコモをKDDI(au)が追い抜き、ソフトバンクはグループ会社と連携することで対抗しているという構図が見える。このKDDIのLTE化率の高さの背景については、以前に本誌で紹介した理由を参照いただきたいと思う。
そして、次回はエリア別に携帯各社のLTE展開が、どのように行われているかについて紹介したい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて9月5日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |