当連載にて既報の通り、約半数近くにまで達している格安SIMの認知率。ISPや家電量販店などを中心に多くの事業者が参入し、様々なサービスプランが提供されている。利用者層も拡大の一途をたどっているものの、実数としての利用者数はまだまだ少ないのが実態だ。
格安SIM市場の一層の拡大には、認知率のさらなる向上とあわせて「格安SIMを知っているが、まだ利用していない人」をいかに取り込むかが重要になってくるだろう。
そこで今回は、MCAが実施したアンケート調査から「格安SIMを知っている未利用者」の今後の利用意向を探ってみたい。
買い替え時の格安SIM利用意向(調査対象:格安SIMを知っている未利用者/n=172) |
(出典:MCA「SIMロック解除・MVNOの消費者ニーズ・利用実態調査」) |
上のグラフは、格安SIMを知っている未利用者に対して「今使っている携帯電話を買い替えるとしたら、格安SIM(格安スマホ)を使いたいと思うか」をたずねたものである。
回答をみると「そう思う/ややそう思う」「そう思わない/あまりそう思わない」「どちらともいえない」が、ほぼ3分の1ずつという結果となった。ただし強い肯定(そう思う)が8.7%だったのに対し、強い否定(そう思わない)は17.4%となっている。
続いて、買い替え時に格安SIM(格安スマホ)を使いたいと「思う」「思わない」理由を見ていきたい。なお、調査は自由回答方式でたずねているが、ここでは回答を分類して集計した結果を取り上げる。
利用したいと「思う/やや思う」と答えた回答者が挙げた理由で最も多かったのは「月々の支払いを安くできるから」。利用したいと思った人の約8割が答えている。その他に「あまり通話しない(通話機能が不要)」との声もみられた。
一方、利用したいと「思わない/あまり思わない」と答えた回答者が挙げた理由の上位は「キャリアのサービスと比べ制限・制約があるから」「信頼感、安心感がないから」だった。また「キャリアの料金とそれほど違わないから」という理由も上位になっている。
利用したいと思う理由、思わない理由のいずれも上位に「料金」が挙げられた点が非常に興味深い。確かに、従来型携帯電話の利用者や音声通話を頻繁にする利用者など、格安SIMに乗り換えても料金面でのメリットが出にくいユーザーも存在する。単純な料金だけではなびかない層へどのようにアプローチしていくのか、今後の課題と言えそうだ。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて2月20日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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