弊社が記事を寄稿している「ケータイWatch」でも取り上げられている通り、電波法改正によって2015年4月から「登録修理業者制度」が導入された。これにより、一定のルールのもと、メーカー以外の第三者がスマートフォンや携帯電話などの端末修理を行うことが可能となった。今回は、第三者修理の現状と今後を整理してみたい。
(出典:総務省「登録修理業者制度申請書記載例」より)
これまでも、端末メーカーまたはメーカーとの契約等を結んだ事業者については携帯端末の修理を問題なく実施できることが制度上担保されていた。しかし、それ以外の事業者が修理した場合の取り扱いはグレーな状態だった。
白とも黒とも言えないため、正規ルートでの修理では実現が難しい「今すぐに直したい」「安価に直したい」「端末交換は(データ移行や再設定が手間なので)避けたい」ニーズに応える修理事業者が誕生し今に至っている。
登録修理業者制度は、このような現状を是正すべく、総務大臣に登録を行うことで第三者による修理を制度上担保する枠組みだ。
なお、携帯端末は電気通信事業法の適用を受ける端末機器であるとともに、電波法の適用を受ける無線設備でもある。そのため、それぞれの法律に基づいて登録申請が必要だ。
また、申請は「修理する端末(正確には特定無線設備)および修理個所」を個別に登録しなければならない。1つの端末には複数の無線設備が搭載されていることが一般的であり、その設備すべてを記載する必要がある。また新機種が出た場合はその都度申請することが求められる。
制度の有無とは別に、修理事業者には共通の課題もある。代表的なのが修理部品の調達だ。端末メーカーから供給されるものではないため、サードパーティー製品を用いるか、不要となった端末から回収した再生品を使わざるを得ないのが実態だ。
このように修理事業には一定のハードルがあるものの、制度化されたことで新たなビジネスチャンスも生まれるだろう。例えば中古端末市場では、今までは故障品はリサイクルが主流だったが、買い取った中古端末を修理して再販することが考えられる。
4月の制度開始からまだ2カ月弱だが、既に登録を受けた修理業者も登場している。登録を受けた修理事業者名は総務省のウェブサイト上(下記URL)で公表される仕組みになっており、修理を依頼する場合の参考にもなるだろう。修理ビジネス市場の拡大ならびに健全化が期待されるところだ。
・端末機器に関する基準認証制度について(電気通信事業法)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/tanmatu/index.html
※登録業者は「登録修理業者の登録情報の公表」欄にて公表予定
・登録修理業者制度(電波法)
http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/repairer/index.htm
※登録業者は「登録修理業者の登録情報の公表」欄にて公表を開始
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて5月29日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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