電波法改正によって導入された携帯端末修理事業者の登録制度。今までグレーゾーンだった修理ビジネスが合法化されたが、修理事業にはまだ課題が残る。主な課題を整理したい。
最大の問題は「修理部品」の調達だ。端末メーカー側が第三者に対して純正の修理部品を供給することは考えにくく、現状の調達先は中古品からの再利用または汎用品に限られる。中古品から取り出す場合は「1台修理するのに、部品取り出し用にもう1台」用意する必要があり、安定的な調達先とは言い難い。一方の汎用部品は、iPhoneやGalaxy、Xperiaなど国際的なブランドの端末については製造も活発で調達ルートが確保しやすいが、それ以外の端末向けには作られていないのが実情だ。
また、登録修理事業者制度のハードルの高さも課題と言える。同制度は、申請した修理端末・修理個所(液晶、スピーカーなど)を、修理方法書に従って修理した場合に限り「改造」にはあたらないとするものである。そのため、登録修理事業者であっても、申請しなかった端末の修理は同制度に基づかないものとされ、事実上新機種が出た場合はその都度申請が必要となる。
このような状況の打開に向け、修理事業に関する業界団体が昨年から今年にかけて2つ設立されている。2014年11月に設立された「一般社団法人スマートフォンリペア協会」は、主に第三者修理事業を展開している事業者を中心に構成されている。一方、2015年5月に設立された「携帯端末登録修理協議会」は端末メーカーやキャリア、また両社より委託を受けて修理事業を行っていた事業者が中心となっている。いずれも修理事業者向けの修理マニュアルや情報提供を担う予定で、これら情報を活用することで登録修理事業者の申請が容易になることが期待される。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて7月31日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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