さまざまな事業者がサービスを提供しているMVNOだが、ここまで事業者が増えた背景には、スムーズな参入や継続的なサービス運営を支援するMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)が大きな役割を果たしていると考えられる。MVNEがMVNOの立ち上げや事業展開をサポートすることで、通信に関するノウハウをもたない事業者もビジネスをはじめやすくなる。
そこで、本コーナーでは不定期連載として、MVNOの裏方を支えるMVNEの役割や主なMVNE事業者の取り組みについて取り上げていく。
今回は、NTTPCコミュニケーションズの営業本部 第三営業部 営業担当 担当部長 中林大樹氏、同担当 石田康貴氏にお話を伺った。
ISPサービスについては、我々が直接お客さまに提供するだけでなく、提供とほぼ同時期からはOEM提供も行っています。その中でOEM先の事業者さまから「固定だけでなくモバイルも取り扱いたい」とのニーズが寄せられたこともあり、移動体通信においてMVNOビジネスをサポートする「MVNO環境提供サービス」を約5年ほど前に開始しました。
課金であれば、事業者さまがエンドユーザーさまに請求しやすいかたちで回線毎の利用状況データを提供しています。
問い合わせの一次窓口は事業者さまにお願いしていますが、質問内容について事業者さまが弊社に相談できるよう、専用窓口を用意しています。特に、不具合関係のお問い合わせは24時間365日対応できる体制となっています。ISPのOEM提供でも同様の窓口を以前から設けており、ノウハウを共有しています。
ユニークなものでは、法人向けで高速通信容量をまとまった回線数でシェアするプランを希望されたケースがあり、弊社では数十回線でのパケットシェアが可能なものを提供しています。
逆に法人向けでも、営業マンに持たせるような場合はコンシューマ向けとそれほど違いはありません。強いて言えば、使わせたくない通信を制御するぐらいでしょうか。
また、価格や容量での差別化が難しくなっており、付加価値の提供にフェーズが移っているのではないでしょうか。
一例として、高速通信と低速通信の切り替えができる帯域制御機能が挙げられます。弊社では、APIを提供して事業者さまがアプリを開発できる環境を整えているほか、弊社が既に開発しているUI画面を提供することもあります。
また、そもそも通信品質は価値ではなくMVNOにとっての根本的な部分とも言えます。「MVNO環境提供サービス」では、弊社がMNOであるNTTドコモからの帯域を各事業者さまに提供していますが、各事業者さまとはあらかじめある程度の品質水準を定めています。弊社では、今後の需要予測も行いながら品質が維持できるようコントロールしています。
そこで、弊社がカバーする範囲を広げたモデルを検討しています。具体的には、事業者さまは販売にのみ専念し、それ以外の業務はフルスペックで我々が請け負うものです。
このモデルであれば、スモールスタートも可能になるため、より容易にMVNO事業に参入できるようになると考えています。手軽にストックビジネスをはじめていただけるプランとして、積極的に伸ばしていきたいと思います。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて8月7日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
- NTTPCコミュニケーションズ「OEM/再販プログラム」
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