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"2年縛り"プランの今後の行方を探る

いわゆる「2年縛り」が俎上に載った、総務省の有識者会議「利用者視点からのサービス検証タスクフォース」。今年5月から7月にかけて、消費者保護の観点から現行の期間拘束プランの問題点について検討を行い、結果を「『期間拘束・自動更新付契約』に係る論点とその解決に向けた方向性」(以下、方向性案)として取りまとめた。

今後、2年縛りプランはどうなっていくのだろうか。方向性案の中身をQ&A方式で整理し、みていきたい。

Q. 具体的に何が問題となっているのか。

A.方向性案全体から浮かび上がる最大の問題は、利用者の選択肢が"2年縛りプラン"に事実上限定されており、かつ契約の解除が容易でない点である。

期間拘束のないプランも提供しており、個々の利用者が自ら選択した結果だとキャリア側は主張しているが、携帯電話契約では「9割程度の利用者が期間拘束のあるプランを選択している」(方向性案)のが実情である。

これだけの差がでているのは「期間拘束のないプランが店頭で十分に説明されていない」「期間拘束の有無で料金に極端な差があり、期間拘束のないプランが形骸化している」点などが背景にあるとみており、拘束のないプランが選択肢の1つとして実質的に機能することが必要であると方向性案は指摘している。

また、期間拘束プランが自動更新される点については「(少なくとも)初回の拘束期間が経過した後は、期間拘束が自動更新されず、違約金を支払うことなくいつでも解約できるプラン」(方向性案)の新設が適当としている。

Q. この方向性案を契機に、改善は図られるのか。

A.以前より期間拘束プランの問題点は総務省の研究会等でたびたび指摘されてきたが、タスクフォースの立ち上げも踏まえ、既にキャリアによる取り組みもはじまった。

具体的には「契約解除料を支払うことなく解約できる期間の延長(1ヶ月から2ヶ月に)」や「更新月が近づいた段階での利用者へのメール通知」が行われている。

また、NTTドコモの加藤社長は7月29日に開催された決算会見で、2年縛りへの対応ついて今年度中の対応方針を明らかにするなど、検討の動きが活発になっている。

とはいうものの、方向性案自体には強制力はないため、改善が図られるかどうかは未知数だ。「自主的に自らのサービスの改善に取り組むことを強く期待する」(方向性案)のが精一杯といえる。今後も改善がみられない場合はガイドライン策定による踏み込んだ対応が検討されることになろう。

Q. 消費者保護では、携帯電話契約のクーリングオフ制度も話題になったが、あれはどうなったのか。

A.携帯電話の契約から8日以内であれば通信契約の解約が可能な「初期契約解除制度」を含む「電気通信事業法等の一部を改正する法律」は今年5月に交付された。施行は交付から1年以内と定められているが、まだ施行されていないので制度は現時点では導入されていない。

法律には、例えば「初期契約解除制度の対象となるサービス」や「解除の際に消費者が負担する費用」など、運用上の具体的な細目については明記されておらず、省令や告示に委ねられている。現在総務省ではこれら省令・告示の中身を検討しており、秋以降に確定する見込みとなっている。

省令・告示が定められ、一定の周知期間を経たあと施行されることから、制度のスタートは来年春頃になる予定だ。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて8月21日に公開された記事となります。
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