シリーズでお送りしてきた「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場」特集の最終回はIP関連機器(ルーター、スイッチ、サーバー)を取り上げる。
キャリアが導入するハイエンドルーターはバックボーンに置かれ、ギガビットクラスの中継線を収容し、単純なフォワーディングを高速処理するコアルーターと、加入者回線を集線し、優先制御などのサービス機能を備えるエッジルーターに分類される。
本記事の詳細は「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2015年度版」をあわせてご参照ください。 |
2013年以降、キャリアの投資抑制から減少傾向が続くIP関連機器
主にキャリアが利用するハイエンドルーター市場はキャリアの設備投資動向によって機器の需要が大きく左右される。
2012年度までは拡大傾向が続いていたIP関連機器市場はルーターやスイッチの落ち込みで、2013年度以降は減少傾向が続くものと推定される。唯一、サーバー市場は微増傾向が2014年度まで続いたが、2015年度は前年比5%程度の減少が予測される。
2014年度のキャリア向けルーター市場は固定系キャリア向け売上の減少に加え、モバイルキャリア向けコアルーター需要が一巡した結果、前年から8.4%減少し、770億円にとどまった。こうした厳しい環境ではあったが、モバイルキャリア向けエッジルーター需要がキャリア向け市場を下支えしたのと、サーバー市場が微増した結果、2014年度のIP関連機器市場全体では前年比マイナス14.3%の2,374億円となった。
NFV/SDN化の影響は2017年度以降に顕在化
IP関連市場は将来的にはNFV/SDN化による汎用ハードウェアへの移行が徐々に進行するものと予想され、その影響は早ければ、2017年度あたりから顕在化してくるものと考えられる。機器コストの下落が予想され、市場規模は縮小すると予測されるが、その一方でソフトウェアやSI、OSS/BSS市場の活性化も考えられることから、ベンダー各社は新たなビジネスモデルの構築が求められる。
2017年にはルーター/スイッチ市場の30%がSDNに
SDN関連機器市場は2012年頃から立ち上がりはじめ、2013年には73億円の市場を形成した。キャリアやエンタープライズ分野での投資の抑制からルーター/スイッチ市場自体は減少傾向にあるが、SDNスイッチの市場はまだ小さいものの、今後は大きく成長していくものと想定される。情報システム側ではサーバーやストレージの仮想化が進んでおり、仮想化が進んだ状況で複数のネットワークを運用するのは付加が大きい。そこでネットワークの仮想化も課題となってくる。このような背景から各種ネットワークのSDN化は進展していくものと思われ、2015年には250億円、2017年には670億円の市場に成長し、この時点でルーター/スイッチ市場の30%がSDNになっているものと推定される。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて11月13日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
特集:主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2015
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