2016年4月、インターネットイニシアティブ(IIJ)が「IIJmio meeting #11」を大阪と東京で開催した。IIJが提供するアプリ、IIJ担当者から見たMWCの注目トピックス、最近の通信行政とHLR/HSS開放の中身などが解説された。
イベントの詳細については別途掲載するが、まずは9日の東京会場における、イベント参加者およびtwitterから寄せられた質問に登壇者が回答する質疑応答の模様をお届けしたい。
[04/10 18:50 更新]
内容の加筆およびタイトルの変更を行いました。
MWCでのトレンド、eSIM等の新技術に関する質疑応答
――国内でeSIMが導入された場合、MVNOには影響があるか。また、そもそもMVNOは対応できるのか。
IIJ 佐々木 太志氏(以下、佐々木):
そもそも話が逆かなと思っている。メリットがないと、そもそもeSIMが国内に導入されることはない。今考えているのは我々ではなくキャリアさんだが、キャリアさんがメリットがあると判断すれば導入する、そうでなければ導入しないと思います。これが前提。
MVNOはどうかというと、キャリアが導入すると、現行制度では否が応でも我々にも導入されてしまうので、そのときには対応しなければならない。生き残れるビジネスモデルを考えたいと思っています。
――バーチャルSIMについて。例えば貼るSIMをIIJのJapan Travel SIMで提供するのは技術的に可能か。
IIJ 大内 宗徳氏(以下、大内):
我々のSIMはMNO(NTTドコモ)から借りているので、現状ではできない。将来的にFull MVNOとなり、自由にSIMを作れるようになればできるようになると思う。ただ法的な問題や、SIMに貼るので機器の中で詰まってしまったりと、ユーザーに提供して本当に大丈夫なのか分からない点がある。
――5Gになると基地局折り返しで1msecぐらいとのことだが、コアを通した場合はどのくらいになるのか。現状のLTEはだいたい50msecだが、それがどうなるのか。
大内:
おそらく半分以下にはなるとは思うが、そのぐらいのレベルになると思う。数十ミリsecだとリアルタイム処理は厳しいのではないか。
――5Gになった際、トラフィックを基地局の近くから逃がすという話があったが、MVNOとキャリアの接続点に対する影響はあるか。
大内:
我々もその点は気にしているが、我々はMVNOのビジネスモデル的にキャリアと同じ事をすることは難しいので、どこかに集めてキャリアとの受渡をすると思う。我々が5Gで10Gのサービスを提供できるかと言われたら多分難しい。
佐々木:
補足をさせていただくと、今のビジネスモデルと2020年のMVNOはおそらく変わるだろう。そもそも今の、トラフィックを一個所に集中して受渡をするという今の接続制度自体が2020年まであるかどうかも別問題なので、その頃には全然違うモデルになっている可能性もある。今決まっていることはない。
――MWCでは、LTE Advancedの進化はLTE-A PROと5Gのどちらの技術展示が多かったでしょうか。
大内:
5Gを押し出しているところの方が多いですかね。クアルコムやインテルはLTE-Aの進化による高速化もアピールしていたが、目立つところは5Gで10G、20G出ます、というのが多かったですね。
――MWCでAquarisやMeizuのUbuntu Phoneがあったかと思います。日本進出の際、IIJでの取扱の可能性はありますか。
佐々木:
技適マーク付きの端末が上陸したら是非検証してみたいと思う。
――MWCで、現地スペインのTuentiは複数発行されたSIMに対し同時に着信するサービスを提供していたと記憶している。日本でこういったサービスはできますか。
佐々木:
まず現時点ではSIMカードを自由に発行できる基盤を持っていないので、できません。仮にIIJがFull MVNOとなってSIMカードを発行したときにこういったことができるか、という話だが、技術的にはできる余地はある。ユーザーメリットがあるのであれば提供していきたい。
個人的には家の中で複数の端末が同時に着信音を出すとびっくりするのではないかと思う。
――MWCにIIJは出展されていましたか。
IIJ 堂前 清隆氏(以下、堂前):
しておりません。
――Apple SIMやGigSkyのように、1枚のSIMで複数キャリアを切り替えて使えるようなサービスを期待しています。
佐々木:
はい、ありがとうございます(会場爆笑)
堂前:
もうちょっと何か、、、
佐々木:
「期待しています」ということですから、はい、ありがとうございます、というところで。
ゼロレーティング・通信の秘密に関する質疑応答
――一部MVNOが、特定サービスの通信をデータ量の計算から外す(ゼロレーティング)商品を開始したが、どうお考えか。またIIJが同様のサービスを提供する予定は。
佐々木:
ISPを長くやってきたなかで、我々がコンテンツプロバイダを選ぶということはしない文化がある。コンテンツに関してはコンテンツプロバイダ同士で競争していただき、我々は平等な土管であると肝に銘じている。ただし社会が大きく変化し、昔ながらのインターネットの常識が必ずしも通用しなくなってきているとも感じている。難しい課題。色々と考えなければいけないと思う。
堂前:
今回はモバイルの部分で話題になっているが、インターネットの世界では昔から優遇したり逆に劣後させていいのかはずっと議論されている。今はこういう状況だが、過去の議論を考えると軽々に結論は出せない。
――ゼロレーティングはネットワーク公平性の観点でIIJはあまりやりたくないとの話だが、そこで使われるDPI技術と通信の秘密についてどう考えているか。
佐々木:
DPIは通信の秘密という話になってくると判断しており、必ず正当業務行為に限って行うこととしている。我々もDPIの技術は使っており、クーポンのオンオフやクーポンの残量確認はDPIを使って実装している。業務上必要なことでは使用しているが、それ以外の用途で使用することは通信の秘密を侵害することになるので行っていない。
今後我々が何らかのサービスを行うにあたりDPI技術を実装する場合、通信の秘密にかかわる正当業務行為にあたるという条件が必ず必要だと思っている。その際には改めて皆様に「今後IIJmioとしてはこういったサービスを(DPI技術を用いて)行いますが、利用を希望されますか」と了解を得て導入すると思っている。
――IIJがMVNEとしてサービスを提供している事業者からゼロレーティングをしたいと言われた場合、IIJはどう対応するのか。
佐々木:
さきほど申し上げたIIJの考え方を原則準用するかたちになると思う。我々が通信の秘密をバイオレーション(侵害)してもいい条件は正当業務行為にあたるかどうかだと思っている。正当業務行為以外で通信の秘密を侵してほしいと言われた場合は全て「NO」とお答えする。逆に事業者側が全てのお客様から了解を得ている場合は正当業務行為に該当すると判断します。
――例えば(IIJがMVNEとなっている)DMMが自社動画のゼロレーティングを希望された場合、ネットワーク公平性との兼ね合いは。
佐々木:
ネットワーク公平性が絶対のルールだとは思っていなくて、MVNO事業者側からの要望について「それは我々の文化とは相容れないからやらない」と一方的に断ることは考えていない。我々の考え方というよりは、業界全体もしくは法規制の中で明文化されていることは遵守させていただく。今のところ、DMMさんが自社動画をゼロレーティングで提供することは通信の秘密に係わる部分以外では問題はないと考えているので、正当業務行為の範囲で対応していきたい。
HLR/HSS開放に関する質疑応答
――HLR/HSSが開放され独自SIMをIIJが発行した場合、NTTドコモ端末であってもSIMロック解除しないと使えなくなるのか。
佐々木:
その通りです。なので昨年のSIMロック解除ガイドラインというのは非常に重要な、HLR/HSS開放との兼ね合いでも非常に重要な一里塚だと思っている。逆にSIMロック解除ができない状況はHLR/HSS開放にとって逆風だと思っている。
――HLR/HSSが開放されて相互接続となった場合、IIJmioもPLMN番号を取得するのですか。
佐々木:
技術的にはそうなると思います。
みおふぉんダイアル(接続電話による音声通話)に関する質疑応答
――Android版のみおふぉんアプリでは、標準の電話アプリに投げないで通話できるようにはしないのか。
佐々木:
できなくはないが、互換性もろもろを考えた際、標準アプリを呼び出すのが最も幸せかなぁと思っている。サードパーティーの電話アプリに投げることは考えていない。
――IIJmioサービスの音声通話における、みおふぉんダイアルの利用率はどのぐらいですか。
佐々木:
ちょっと前に聞いたときには、具体的な数字は言えないがあまり使われていないということがあった。
みなさんに使ってもらいたいという思いを込めて、今回のイベントでも取り上げました。
――音声通話について、キャリアからの卸で提供するもの(30秒20円)と、みおふぉんダイアルによる通話では、収益性にどう違いがあるのか。みおふぉんダイアルをプッシュしているので、そちらの方が収益性が高いのか。
佐々木:
正直に言うと、卸での提供(30秒20円)の方が収益性は高いのではないでしょうか。ただしみおふぉんダイアルだと収益が激減するわけではないので、30秒10円の通話を倍使ってもらった方が収益性は上がると思う。
――みおふぉんダイアルの通話料を、例えば3分8.5円のようにできないか。
佐々木:
みおふぉんダイアルでこの価格というのは少し厳しいように感じています。IP電話等々含めてどうするの、という話は考えられるかもしれないが、ただちに実現できるかと言われると難しい。
堂前:
NTTドコモからの仕入れが30秒いくらいくらとなっているので、何百円払えば何分間割り引くといったパック料金にするならともかく、これを単純にやってしまうと完全に逆ざやになってしまう。
――みおふぉんダイアルを使わずに、標準の通話アプリから発信する際に指定のプレフィックス番号を付けても通話できるのか。
堂前:
大丈夫です。割引は適用されますのでご安心ください。
みおぽんアプリ(クーポンのオンオフ、データ量確認等ができるアプリ)に関する質疑応答
――みおぽんアプリで以前はほぼリアルタイムで通信量が表示されていたが、最近更新頻度が大分下がったような気がする。更新頻度はどのぐらいのスパンですか。
佐々木:
最初からリアルタイムではなかったと思う。最近若干更新頻度を下げた気はするが、それほど大きく変わってはいないはず。具体的な周期について、お伝えできる情報はありません。
堂前:
全部のデータ量を洗い直しながら表示させるので完全にリアルタイム表示をさせるのは難しい。
――クーポンのオン・オフ操作は、1度行ったあと1分待たないといけないが、どうにかならないか。
堂前:
何度も何度もできるようにしてしまうと、うちのサーバーが音を上げてしまうので、ある程度クールダウンしながらやっていただくようにしている。ご協力いただきたい。
――(みおぽんアプリの)ぼかし機能で隠されるICCIDの最初の2文字(SIMのメーカー)は表示できるようにして欲しい。
堂前:
うーん。ちょっと考えときます。
――みおぽんアプリ経由でのクーポン販売について(決済手数料等がかかるのがネックなら)2倍の値段にするのはどうですか。
佐々木:
購入されたお客さまからクレームが来た際の答えに窮するので、ちょっとごめんなさいとしか言いようがない。
堂前:
一物二価というか、同じものを違った値段で売るのはちょっと難しい。
――イオンモバイルはIIJ回線を用いたMVNOだと思うが、みおぽんアプリは使えるか。
佐々木:
(イオンモバイルがIIJ回線を用いているという)前提条件のところは(情報の真偽を)お答えできない。みおぽんアプリは弊社サービスにのみ使えるものなので、IIJmio以外のサービスでは使えない。
堂前:
前提条件の部分について付け加えたい。IIJとして、MVNO事業者がどのMVNE回線を使っているかについて、我々はイエスともノーともいえないのが原則となっている。ただしDMMさんは「IIJ、IIJ」といっぱい言ってくださっているので、我々もお伝えできる。それ以外のところについてはお答えしておりません。
IIJmioの商品・サービスに関する質疑応答
――他社がサービスをしている、10GB超の大容量プランや、中速無制限プランをIIJが提供する予定は。
佐々木:
大容量は必要性を感じており、検討は引き続き進めていきたい。中速無制限プランもお客さまからのニーズは非常に高いのは承知しているが、これをやると間違いなく赤字になるのでやりません。
――個人向けでKDDI網やソフトバンク網を使ったMVNOサービスを提供する予定は。
佐々木:
KDDI網を用いたMVNOは法人向けでサービスを提供中だが、個人向けでご要望が多いことは承知しているので検討していきたい。ソフトバンク網も検討を全くしない訳ではないが、3つのキャリアの電波をつかめるようになってもそんなにメリットにならないのではないかと思う。
みなさんの認識だと、手元にソフトバンクの端末があって、ソフトバンク網のMVNOができれば、きっとSIMロック解除せずに使えるようになるだろう、とお考えかもしれませんが、使えないような気もします(会場笑)。そもそもSIMロック解除が義務化されたので、数年後にはソフトバンクの端末にドコモ網のMVNO SIMをさしてもらえればなぁと思っているので将来性等もろもろ考えてサービスを検討していきたい。
――ミニマムスタートプラン、ライトスタートプランでも複数SIMを発行したい。
佐々木:
現状では対応の予定はありません。この件はご要望は非常に多く、何かしらできればいいなと思っている。
――ファミリーシェアプランでSIMカードを10枚まで増やせるようになったが、申込状況は多いですか。
佐々木:
ただちに数字を思い出せないので何ともいえないし、思い出しても正確な数字はお伝えできないと思う。
堂前:
私はなんとなく数字を覚えているが、ご利用いただいている。多いか少ないかは言いにくいのでノーコメントとさせて欲しい。
――クーポンをオフにした通信はどのぐらいあるのか。
佐々木:
クーポンを使うとスピードが出るので、クーポンをオフにした通信はかなり少なくなってきているのかなぁと思っている。比率は出せないが、ほぼオンにした通信が占めているのではないか。
――クーポンオフ時の規制対象は366MBと中途半端だが、その理由は。
堂前:
300万パケットでの規制ということで、366MBとなっている。確かにキリの悪い数字かもしれないが、今から変えるというのも難しいと思う。仮に今後(サービス全体を)大きく変更することがあった場合はこういったご意見も考慮し、どうするか検討していきたい。直近では変更しないと思う。
――クーポンオフ時に366MB/3日の規制に引っかかった場合、速度はどこまで程度規制されるのか。
佐々木:
非開示とさせていただいている。
――MVNOは、ランチタイム等で利用が急増するとデータ通信が輻輳し遅くなる場合がある。例えば震災が起きた場合はどうなりますか。
佐々木:
通信速度の問題もあるが、IIJでは現状仮に東京が壊滅した際でも大阪を拠点に円滑にサービスを提供できるように対策を進めているところ。当然、非常にトラフィックが増えたときに混雑することはあり得るが、MVNOとしては震災を見越して十分なトラフィックを確保するのは経済的に非常に難しいところ。場合によっては一部通信を優先させていただく、緊急避難的にやらせていただく可能性はゼロではない。
――IIJmioでは警察・消防等から緊急時に住所などの個人情報照会にどのように対応されていますか。
佐々木:
IIJは基本24時間365日対応している。警察に対しては既に対応している。消防と海上保安庁とは、現在スキームを作っているところ。
――IIJの回線から犯罪予告のようなことが行われ開示請求がなされた場合、それを受理して開示に応じますか。
佐々木:
警察及び法務執行機関からの開示請求・捜査協力はこれまでも真摯に応じてきましたし、これからも基本的に応じていく方針。ですので、こういう(犯罪予告のような)ことはやめていただきたいと思っています。
堂前:
モバイルに限らず、インターネット全般で同様の対応を粛々と行ってまいります。
――通話機能付きSIMの紛失対応を24時間体制にして欲しい。
佐々木:
耳が痛い話。こういったことができる体制にしないといけないと思うがコストとの兼ね合いもあり今すぐというお約束はできない。何かできればいいと思う。
――「UQ mobile」では1枚のカードでnano、micro、通常の全サイズに対応できるパッケージを提供しているが、IIJmioで対応する予定は。
堂前:
我々もできればいいなぁと思っているが、現状NTTドコモから供給されているSIMにそういうものがないので提供できない。
――IIJmioのSIMカード裏面に、PUKコードは印刷されないのか。
佐々木:
PUKコードはPINロックがかかった際に使用する解除コードのことだが、NTTドコモのSIMに印字することはできない。
――SIMカードのパッケージには販売期限があるが、期限を過ぎると開通手続ができない。どうにかならないか。
佐々木:
余裕があるように、あまりギリギリのものは売ってはいけないルールになっているが、一度販売店に納めてしまうとそのあとは比較的自由に店側で販売してしまうので、そういうケースもあるかもしれない。
堂前:
販売期限があることを見越した上で仕入れてもらっているが、多く仕入れてしまった方がいらっしゃったのかなぁと思う。すみませんが、我々の方で対策を取るのは難しい。お買い求めの際は期限をご確認いただきたい。
――他社に比べ、IIJmioのパッケージは大きくないですか。
堂前:
サイズの大小はあるかもしれないが、決して無駄にしているわけではない。説明を書いた上であのサイズになっているとご理解いただきたい。
――ANAのマイルが貯められる特典サービスが開始されたが、既存契約にも適用してもらえないか。
佐々木:
ANAマイレージモールを経由して新規に購入いただいた方にマイルを提供している。それを全体的に適用してもらえないか、という話だと思う。これは以前ビックカメラのBIC SIM発売時に、Wi-Fiも使えるので同じように使えないかとお問い合わせをいただいたのと同じケースで、販売店の独自施策を我々がやってしまうことについては「NO」と申し上げるしかない。
――IIJmioは口座振替払いに対応しないのですか。
堂前:
要望があるのは承知しているが、現時点で回答できる情報はありません。
――口座振替払いができないなら、クレジットカードを持たないユーザーに向けて前払いでずっと使えるようなSIMを出して欲しい。
堂前:
コンビニでプリペイドSIMと追加チャージの両方を販売している。SIMを購入してもらい、都度追加チャージをしてもらえれば利用期間をどんどん延長して使ってもらえる。現状データSIMのみに限っている理由は、SMSや音声通話の請求がお客さまの使用後にIIJに届くため。データと違って通話は「1000円分前払いしてもらって、1000円を超えたら通話をリアルタイムに止める」ことができないのでプリペイドでは提供できない。Full MVNOになればそういうことも技術的にはできるようになる。
――ビットコインでの支払いへの対応は。
堂前:
まじめにお答えすると、ちょっと現実的ではない。
――逆転の発想で、値下げではなく値上げをして通信品質を上げるのもありではないでしょうか。
佐々木:
これは僕らが決める話ではなくお客様が決める話だと思う。例えば、ミニマムスタートプランを1500円にしますと決めたら、おそらくみなさん解約しますよね?(会場笑)
そのときに皆さんが残っていただける、より我々のビジネスが増える方向に行くのであれば正解だが、値上げをして我々を解約し他社に流れてしまうのは間違ったことだと思う。
――mioひかりは時間帯によっては2~3Mbpsしか速度が出ない地域がある。設備増強はNTT側との兼ね合いがあることは分かるが、トラフィック状況は開示して欲しい。
堂前:
都道府県によってご迷惑をお掛けしている場所があることは事実。設備増強はNTTさんと合意がないとできないのも事実。ボトルネックの部分は、いわゆるトラフィックグラフとして出せる相互接続回線の混雑というよりは、とある装置の混雑が問題の原因。装置の混雑状況は我々でハンドリングできない部分なので情報の取りようがない現実がある。定量的に「何%混んでます」といった情報がないので、定性的な情報を出すのが我々ができる限界で申し訳ありません。
その他の質疑応答
――キャリアのキャッシュバック競争およびタスクフォースの議論など、一連の流れについてどう思われますか。
堂前:
これは我々が何かお話をするということではないですね。
佐々木:
我々からすると正直一括ゼロ円とか実質ゼロ円とかは全然いいと思っているが、例えば家族でMNPすると40万円みたいなのはやりすぎかなぁと思う。それ以下であればまぁあるかなぁとも思います。
我々も一介の通信事業者なので、料金プランを我々が決める権利というのは非常に大事なビジネスの要素だと思っています。「MVNOの料金は高すぎるからもっと下げろ」とか「安すぎるから何とかしろ」とか、我々の社長が突然総務大臣に呼び出されて指示を受けるという未来は、僕らからみると「それっとちょっとまずいんじゃないの」と思う。通信事業者として、自由な料金決定権はすごく大事で、おそらくキャリアも同様だと思う。
――格安SIM無料相談窓口やブロガーによるコンサルサービスなどが登場し今後も増える可能性があるが、どう思われるか。
堂前:
逆に耳が痛いというか気をつけなければいけないところだと思う。我々も今回のイベント等でMVNOについて説明することがあるが、複雑なのでついつい端折ってしまいがちになる。それがゆえに不正確になったり間違えたりは避けなければいけない。自戒していきたい。
――IIJmio meetingの初心者セッションが初心者向けの内容ではないのでは。
堂前:
既に初心者向けセッションを何度もやっているが、企画当初は3~4回ごとに同じ内容をループさせようと思っていた。ただ、毎回来ていただく方のこともあるので「脱初心者」をキーワードにして今は取り組んでいる。初心者の方向けへの説明は、このイベントで、ということではないが、何らかの形で「基本のキ」を伝える機会を設けていきたい。
――DoS攻撃の対処方法はブラックホールですか。また該当のアドレスは対処中使えなくなると思うが、どうなっているか。
堂前:
IIJバックボーンとよばれる、IIJ全体のところで対処している。
佐々木:
ブラックホールとお考えいただいてよいと思う。また対処期間中はアドレス割り当ては行われていない。
――DoS攻撃はどこから行われたのか。
佐々木:
確か有名な人たちの有名な攻撃ではなかったと記憶している。有名な人たち以外からも、本当に様々なところから日常的に行われている。
――IIJmioで知名度が上がって、新入社員が増えたりしましたか。
増えたというか、今年も新入社員が70数名入ったが、たまたまオフィスを歩いていたらいきなり「堂前さん!」と声を掛けられ、話をするとこのイベントがきっかけで弊社を知っていただき、入社に至ったという。そういう新入社員がいて非常に光栄だと思っている。
――イベントの司会を堂前さんがつとめている理由は。
佐々木:
使いやすいからです(会場爆笑)
――IIJmioとして「澪(みお)」って名前の萌キャラクターを作ったりしないんですか。
堂前:
(周囲を見回しつつ)いやぁ作りたいんですけどねぇ。
IIJ主催イベント『IIJmio meeting』取材記事