総務省は3月16日、2015年12月末時点における「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」を公表した。それによると、携帯電話にPHS・BWAを加えた移動系通信の契約数は1億6,078万、MVNOサービス(MNOであるMVNOを除く。本稿、以下同)の契約数は1155万に達したことが明らかになった。今回は公表データから純増数を計算し、契約数のトレンドをみていきたい。
※携帯電話純増数(グラフ内黒数字)はグループ内取引調整後の数値。ただし2013年10~12月のみ単純合計値を採用した。
上の図は、総務省データをもとに、四半期ごとの携帯電話、PHSの純増数と、MVNO(携帯電話・PHS回線のもの)の純増数を算出しグラフ化したものである。黒数字は携帯電話の純増数、赤字はMVNOの純増数を表している。なお、MVNO純増数は内数であり、携帯電話およびPHSの純増数にも含まれている。
BWAを除いた、携帯電話・PHSのMVNO契約数は2015年12月末時点で991万と、1000万契約突破が目前となっている。ただし、グラフからも明確だが、2015年の前半までは四半期の純増数は40万から60万のあいだでほぼ横ばいの推移だった。
トレンドに変化が起きたのは2015年7~9月期で、従来のレンジから上振れし65万の純増を記録した。10~12月期はさらに伸びており、2015年後半に入りペースが加速したことが明らかになった。
複数のMVNO事業担当者から「30代・40代の男性が中心だったMVNOの顧客層が、2015年の秋以降に急に変化してきた。若年層や高齢層からの引き合いが高まり、裾野が広がっている」との声を聞いており、MVNO純増ペースの加速の背景にはユーザー層の変化・拡大も大きく影響したと考えられる。
特に2015年10~12月期は、携帯電話の純増数153万契約に対し、MVNOの純増数は87万契約となっている。MVNOの純増数にはPHSも含まれるため厳密ではないが、単純に2つの数字を比べれば、純増の半数以上はMVNOが稼いだ計算となる。
携帯電話各社が発表する契約数にはMVNOの数字も含まれている。MVNOが占める割合がここまで高まったことで、キャリアの実力を比較する際には、MVNO契約数の影響を従来以上に考慮する必要が出てきたと言えるだろう。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて3月25日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
- 調査資料:携帯・スマートフォンの中古端末市場動向2015
- 調査資料:MVNO×格安スマホ×中古端末がもたらす新領域市場の動向と将来予測2020
- 調査資料:SIMロック解除・MVNOの消費者ニーズ・利用実態調査
- MVNO各社が「音声通話」強化を急ぐ背景
- MVNOでも始まった「音声通話定額」、各社の取り組みを整理
- MVNO契約数、2015年後半以降に純増ペースが加速
- 総務省タスクフォースに盛り込まれた「中古端末市場の発展」、その可能性を探る
- 総務省タスクフォースで急浮上した「MVNOへのデータベース開放」とは
- 中古端末購入者が購入した端末の「種類」
- MVNOの裏方を支えるMVNEの役割とは
- 2015年3月末時点でのMVNO契約数は315万、今後の市場動向は
- 格安SIMの利用者シェアトップは「OCNモバイルONE」、利用者の満足度評価1位は「IIJmio」
- 通話強化に踏み切るMVNO「NifMo」にインタビュー:
通話完全定額に加え所有端末保証など差別化サービスを積極投入する背景 - 通話強化に踏み切るMVNO「FREETEL」にインタビュー:
2つの顔を持つFREETELが「電話かけ放題アプリ」を導入した狙い - 通話強化に踏み切るMVNO「楽天モバイル」にインタビュー:
5分かけ放題の導入で携帯キャリアと同じ料金体系を実現 - IIJ堂前氏に聞く“震災時におけるMVNOの実力”:
音声通話・SMSはキャリアと全く同等、データ通信はMVNOの状況次第 - NTTPCコミュニケーションズ:
ISPのOEM提供ノウハウも活用、製販一体で顧客ニーズつかむ