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キャリア別にみた3G/LTE/LTE-Aにおける無線機ベンダの変遷

今回、国内無線機市場におけるベンダ各社の変遷にフォーカスを当ててみる。通信方式を軸として、W-CDMAやCDMA2000 1x/1xEV-DO方式といった3G時代、LTE時代、LTE-Advanced(LTE-A)時代で区分し、ベンダ各社の動きを追ってみた。

参入ベンダに変化のないNTTドコモ
NTTドコモは3G時代、NECや富士通、松下通信工業(パナソニック モバイルコミュニケーションズ、PMC)の3強であった。LTE時代になり、パナソニック システムネットワークス(PSN)はNokiaとの協業により、LTE無線機の供給ベンダに選定されている。しかし、NokiaにおけるLTE無線機開発や小型化などに課題があり、国内ベンダに後れを取った。LTE-Advancedでは、PSNは完全にNokiaに吸収されているが、LTE時代の後れが解消できておらず、今後の挽回に期待がかかる。
KDDI(au)はサムスン電子ジャパンが攻勢
KDDI(au)では、3G時代に1x方式でMotorola、1xEV-DO方式では日立製作所とサムスン電子ジャパンがシェアを獲得していた。LTE時代になり、MotorolaがNokiaに吸収され、NEC、サムスン電子ジャパンという構図に変化する。しかし、LTE-Aではエリクソン・ジャパンの参入もあるが、サムスン電子ジャパンの勢いが増し、Nokiaが守勢に回るという状況である。
中国ベンダの動きが注目されるソフトバンク
ソフトバンクは3G時代、エリクソン・ジャパンやNECが無線機を供給していたが、その後、NECがノキア シーメンス ネットワークス製品にリプレースされた。LTE時代になり、完全にエリクソン・ジャパンとノキアソリューションズ&ネットワークスの2社に集約されている。LTE-Aでも、2強の構造に変化はみられなかったが、旧ソフトバンクモバイルと旧ワイモバイルが統合されたことにより、供給ベンダに華為技術日本とZTEジャパンが加わり、混沌とした状況になっている。
図:キャリア別無線機市場の変遷(出典:MCA)
北欧ベンダのシェア拡大にはソフトバンクの投資拡大が大きく影響
すでに3G時代には国内無線機市場にも海外ベンダが参入していた。当時はキャリア各社とも活発な基地局展開を行い、KDDI(au)やソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)からの大型受注もあり、海外ベンダの国内シェアは拡大していった。その後、LTE時代にも旺盛な基地局展開が進められ、海外ベンダのシェアは拡大する一方であった。

しかし、LTE-Aでは、キャリア各社の投資抑制が進み、特にKDDI(au)とソフトバンクによる抑制がNokiaとエリクソン・ジャパンを直撃した。そのような中、NTTドコモは投資抑制とはいえ、6,000億円規模の投資を維持しており、堅調な投資にNECと富士通が凌ぎを削っている。また、サムスン電子ジャパンも抑制の強まるKDDI(au)の中で健闘をみせ、今後の国内シェア拡大に注目が集まる。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて5月13日に公開された記事となります。
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