携帯キャリアに比べ割安なデータ通信料金をベースにシェアを伸ばしつつあるMVNOだが、音声通話の料金体系は「30秒20円」の従量課金がその中心だった。しかしここにきて、データ通信同様、音声通話でも特徴的な料金プラン・サービスを打ち出す事業者も増えてきた。
そこで本コーナーでは不定期連載として、データ通信だけでなく音声通話の強化に踏み切ったMVNOの取り組みについて取り上げていく。
今回は、国内通話の5分かけ放題オプションを今年1月から開始した「楽天モバイル」を展開する、楽天株式会社 楽天モバイル事業 執行役員 事業長の大尾嘉宏人氏にお話を伺った。
5分かけ放題の投入もあり音声SIMが選ばれる比率がさらに上昇
分かりやすく「通話をしても大丈夫ですよ」と伝えられるかけ放題オプションの提供で、MVNOに対する心理的な障壁を取り除ければと思っています。
ただ、5分かけ放題はグループ会社の楽天コミュニケーションズ(楽天コム)が提供する「楽天でんわ」による通話が対象となります。楽天コムの中継電話サービスを活用しているので、回線を借りているNTTドコモの卸値がそのまま適用される訳ではありません。
それよりも、携帯キャリアのプランと横並びになれたメリットの方が大きいですね。
携帯キャリアの利用者は、豊富な端末ラインナップから気に入ったものを選ぶスタイルに慣れていると思います。我々もそこにキャッチアップすべく、セレクションを増やしてきました。
我々は昨年1年間、主に3つの軸を充実させることを念頭に動いてきました。「端末ラインナップ」もその1つです。
当初は既存店舗への出店が中心で、1号店の渋谷(東京)も、楽天が提供するサービスを体験できる「楽天カフェ」への併設でした。
おかげさまでMNP即日切替対応の受付をはじめてから利用者が急増しました。実際に端末に触れたい方、販売員から説明を受けたい方が多いことを実感するとともに、「次はどこに店舗を出店するのか」と多くのお問い合わせをいただきました。
単独店舗は仙台駅前(宮城)、銀座(東京)、名古屋栄(愛知)、心斎橋(大阪)、神戸三宮(兵庫)に出店しました。さきほどお話しした併設店とあわせ、直営店は8店舗となります(執筆者注:5月30日には9店舗目となる新店を福岡・天神地下街に開設予定)。
そのほか、家電量販店のエディオン、ケーズデンキ、ジョーシンや、携帯電話併売店への設置を進めています。直営店同様、MNP手続を含めた当日受け渡しに対応しています。
我々はローソン店舗を単なる受取拠点とは捉えていません。楽天モバイルのラックを設置し端末を展示している店舗もあり、今後もさまざまな形での協業を模索して新たな試みにチャレンジしたいと思っています。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて5月20日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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