データ通信だけでなく音声通話の強化に踏み切ったMVNOの取り組みについて取り上げていく不定期連載。
2回目となる今回は、「FREETEL」音声SIM契約者向けに国内通話の1分間・5分間かけ放題アプリ「FREETELでんわ」を今年3月から開始した、プラスワン・マーケティング株式会社 取締役の大仲泰弘氏、ならびにビジネスディベロップメントグループ ジェネラルマネージャーの土井泰二氏にお話を伺った。
スマートフォンもSIMも自ら提供
まず、携帯電話が世の中に出てから今まで、日本ではスマートフォンとSIMはセットで販売されてきました。スマートフォンとSIMを別々に買ってくださいとお願いしても、セットが当たり前の世界を切り崩すのは難しいですし、スマートフォンとSIMの両方とも我々が提供した方がお客様にとってメリットがあるのではないかと考えました。
また、創業メンバーである増田(代表取締役 増田薫氏)と私がもともと外資系メーカーで携帯スマートフォン事業に携わっていたことも大きいですね。当時は携帯キャリアにスマートフォンを提案し、採用された製品を納入していましたが、海外を見渡せばSIMフリースマートフォンが当たり前のように普及していました。スマートフォン事業を手掛ける中で「日本と世界との差」を目の当たりにするとともに、国内でも海外同様SIMフリースマートフォンが受け入れられるのではないかと将来性を感じていました。
詳細はお答えできませんが、実際の傾向として、お客様によってデータ量の使い方はまちまちです。最低ラインの100MB以下の方もいれば、上限の10GBに達する方もいらっしゃいます。
また、そもそも電気やガスなどの公共料金は使用量に応じた請求となるのが一般的ですよね。通信でも定額制より多段階制の方が利用者の実感に合うのではないかと思います。
特定のデータ通信を課金対象外とするサービスは、昨年10月に発売したiPhone/iPad専用SIM「FREETEL SIM for iPhone/iPad」が最初でした。
この商品では「App Store」からのアプリダウンロードを課金対象外としたのですが、開始するとお客様より「あれも無料に」「これも無料に」と、多くのご要望をいただきました。その中から、「メッセンジャーアプリデータ通信量0円サービス」の提供に踏み切りました。メッセージのやりとりは通信の基本ニーズですし、FREETELだからこそ提供できる価値をお届けしたいという思いもありました。
SNSアプリのデータ通信料非課金化は、実は昨年12月に発売した訪日外国人向けプリペイドSIM「FREETEL Prepaid Data SIM for Japan」で先行させており、それをポストペイドの「FREETEL SIM」にも拡大させた形です。
弊社は、NTTドコモ網と直接L2接続を開始したのが昨年7月と後発でした。その分最新の設備を導入しており、このような柔軟なプラン設計にも対応できます。
なお、非課金化は標準サービスとして弊社SIM利用者に一律導入しましたが、お客様の中には通信の識別を希望されない方もいらっしゃるため、個別に対応いただけるよう準備も行っています。
サポートはコストと捉えられがちですが、顧客にいちばん近い存在でもあります。それを外注してしまうと、回答をマニュアル化せざるを得ないですし、サービス改善のヒントも得にくくなってしまいます。サポート部隊は営業の最前線と位置付けています。
専用アプリから発信する際にプレフィックス回線を自動選択させ、中継電話の仕組みを活用することで原価を安く抑えて定額プランを実現させました。
かけ放題プランだけでなく、月額基本料無料で国内通話料が30秒10円と通常の半額になるプランも提供しています。これは、以前より提供してきた「通話料いきなり半額」と同様です。
なお、「通話料いきなり半額」は弊社SIMをご利用でない方でも導入いただけます。一方「FREETELでんわ」は提供先を弊社の音声SIM利用者のみに限定するかわりに、半額だけでなくかけ放題プランも選択できるようにしています。
当初、MVNOは2台目や3台目需要が中心でした。しかし、1台目の携帯としてMVNOを考えている方を取り込むフェーズに移行しつつある中で、メインとして選んでいただくための起爆剤になって欲しいと期待しています。
我々はさすがにキャリアショップに商品を並べてもらう訳にはいかないですが、お客様に今までと同じようにご購入頂けるよう、家電量販店様には数多く取り扱っていただいております。FREETELのコーナーを展開頂いているお店も続々増えています。
メーカーとしては、「SIMフリー」のスマートフォンをご提供しているわけですから、それこそ自由に、より多くの方にご利用いただければと考えております。
おっしゃるとおり、MVNOとしては競合する部分もあるかもしれません。ただ、まだまだMVNOは市場を広げていく時期だと思っていますので「協業しながら市場を広げていきましょう」とお話させていただいています。
他社への供給はスマートフォンだけではありません。我々はNTTドコモとL2接続を行っており、そのインフラをMVNOに提供するMVNE事業にも取り組んでいます。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて5月27日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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