総務省は6月29日、2016年3月末時点における「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」を公表した。携帯電話にPHS・BWAを加えた移動系通信の契約数は1億6276万件、そのうちMVNOサービス(MNOであるMVNOを除く、以下同)の契約数は1269万件であった。そこで今回は、公表データから純増数を計算し、契約数のトレンドをみていきたい。
上の図は、総務省のデータをもとに、四半期ごとの携帯電話、PHSの純増数と、MVNO(携帯電話・PHS回線のもの)の純増数を算出しグラフ化したものである。MVNO純増数は内数であり、携帯電話およびPHSの純増数にも含まれている。なお、公表数値の一部が変更されており、4月に掲載した同様の記事とグラフの数値に差異がある点はあらかじめ指摘したい。
2016年1~3月期は、携帯電話が206万契約増、PHSが17万契約減となった。総務省のデータでは、MVNOは携帯電話とPHSの合算で公表されており、2016年1~3月期は103万契約増となった。携帯電話・PHSの純増数合計とMVNO純増数から「MVNO比率」を算出したところ、54.5%だった。
1~3月期は携帯電話の最大の商戦期にあたり、例年は他の時期に比べて純増数全体が大きく跳ね上がる一方、MVNOの純増数に変化はなく、MVNO比率は落ち込む傾向にあった。1~3月期のMVNO比率をみると、2014年も2015年も20%程度にとどまっている。しかし2016年1~3月期は純増数全体がそれほど増加しなかった反面、MVNO純増数は堅調な伸びを示す異変が起きた。
この結果、2015年度通年でのMVNO比率は58.2%で、2014年度通年の26.5%から倍増した。MVNOの純増ペースには依然として勢いがみられ、今後さらにMVNO比率が上昇していくのか、注目していきたい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて7月15日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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