前回整理したとおり、通信キャリア各社は「ネットワーク仮想化」に本腰を入れて取り組み始めた。そこで今回は、MCAが行った市場調査をもとに、今後どの程度の投資が行われていくのか見ていきたい。
仮想化投資、2015年度の70億円弱から2020年度には900億円強まで拡大
MCAの想定する仮想化投資とは、キャリア各社が仮想化に費やした投資を指す。NFV導入時の投資パターンは大まかに2種類が考えられ、(1)新規にNFV導入、(2)アプライアンスのNFV化となり、アプライアンスへの投資は従来投資となる。
NTTドコモを例にあげると、設備投資額は基地局(RAN)、コアネットワーク、共通設備・その他に区分することができる。そのうち、基地局が最も多く、次に共通設備・その他となり、コアネットワークは最も投資規模が小さい見込みである。仮想化投資自体はコアネットワーク投資から割り当てられるものとみている。
MCAでは、NTTドコモとKDDIグループ、ソフトバンクグループを合算した仮想化投資規模は2015年度に73億円と推定した。キャリア各社の特徴を挙げるとすれば、NTTドコモは堅調にNFV展開を進め、ソフトバンクグループも効率化やコスト削減を重視し積極的にNFV展開を推進しているといえる。一方、KDDIグループはNFV導入の商用化時期がみえないため、NTTドコモとソフトバンクグループに比べて展開が遅い。
なお、キャリア各社のNFV展開が進む2020年度には、仮想化投資が930億円まで拡大する見通しである。
図:キャリア各社の設備投資における仮想化投資推移と予測(単位:億円、MCA推定)
(NTTドコモ、KDDI(au)/UQコミュニケーションズ、ソフトバンク(国内通信事業のうちモバイル)/Wireless City Planningが対象。)
特集:キャリア向けNFV/SDN市場の現状と将来予測2016
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