ソフトバンクは1月18日、ワイモバイルの春モデル発表会を実施した。「Android One」第2弾となる新端末2機種や学割に注目が集まったが、もう1つの大きな発表が「Yahoo!プレミアム」の無償化だ。
「Yahoo!プレミアム」は、月額462円で「ヤフオク!」への出品や「Yahoo!ショッピング」利用時のポイント増量などの各種特典が受けられる有料会員サービス。2月から、ワイモバイルの「スマホプラン」「データプラン」利用者に対して、同等のサービス「Yahoo!プレミアム for Y!mobile」の無料提供がはじまった。
ヤフーの月額有料会員ID数(16年12月末時点で1755万)の約7割にあたる1100万超が「Yahoo!プレミアム」に加入していると推定され、今回の無料化はこれら利用者をワイモバイル顧客化する狙いがあるとみられる。
他方で、既存のワイモバイルユーザーを「Yahoo!JAPAN」の各種サービスに送客し、オークションやショッピングの利用を促す役割にも期待がかかる。実際、ワイモバイルユーザーの「Yahoo!ショッピング」利用金額はこの9ヶ月で約3倍へと拡大している。3月末までの期間限定ながら、ワイモバイルユーザーが「Yahoo!ショッピング」を利用した場合、Tポイントを最大17倍付与する施策も実施中だ(有料の「Enjoyパック」への加入や指定クレジットカードへの入会が条件)。
通信とネット通販の融合を急ぐ背景には、契約数を順調に伸ばす楽天モバイルを有する楽天の存在が挙げられる。スマホ利用者に対してショッピングのポイントを増量する枠組みは楽天モバイルも採用しており、通話SIM利用者は「楽天市場」利用時のポイントが常時2倍となるほか、指定クレジットカードへの入会などの条件を満たせば最大7倍の楽天ポイントが付与される。
開示条件が異なるため単純比較が難しいが、ショッピングやオークション、宿泊、デジタルコンテンツなどを含めたEC流通総額をみると、楽天とヤフーではまだ大きな開きがあるのが実態だ。ヤフーは、出店手数料の無料化に踏み切り「Yahoo!ショッピング」事業を強化しており、「Yahoo!プレミアム」無償化でさらなるてこ入れをはかる。
ワイモバイル利用者をまるごと「Yahoo!プレミアム」会員にすることで、ショッピングをはじめたとした各種サービスへの送客が結実するのだろうか。また、楽天は対抗策を打ち出すのだろうか。通信を呼び水にしたEC総力戦の行方やいかに。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて2月3日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |