節水・空室管理・長期滞在抑止などに活用:

KDDIがIoTクラウドを活用したトイレソリューションを発表

KDDIは2月20日、トイレの空室状況と節水管理を実現するIoTクラウドサービスを今年3月以降より提供開始すると発表した。

説明会に登壇したKDDI ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長 原田圭悟氏は、トイレソリューションをリリースした理由を「初期投資がかからず」「コスト削減にも寄与する」「IoTの分かりやすいモデル」を希望する顧客ニーズをもとに社内で検討した結果だと述べた。

空室管理:トイレの空き状況管理に加え、長期滞在抑止や利用状況分析も
KDDI ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長 原田圭悟氏

「KDDI IoTクラウド~トイレ空室管理~」は、個室トイレの扉にマグネットセンサーを設置しドアの開閉状況を検知、その状況をクラウド上に蓄積するIoTソリューション。扉に取り付けたセンサーからゲートウェイまではBLE(Bluetooth Low Energy)、Wi-Fiで別のゲートウェイに集約後、LTEネットワークを経由してクラウドにデータをアップロードする仕組み。

トイレの混雑状況は管理者が確認できるほか、利用者に対してスマートフォン上で閲覧できるよう公開することも可能。「商業施設がスマホ向けアプリでトイレの混雑状況を利用者に公開しているケースも既にある」(原田氏)。

クラウド上に蓄積されたデータからトイレの利用率を把握することで、利用頻度の少ないトイレの清掃頻度を調整しコスト削減をはかることができるという。また、長時間にわたり居続ける状況が発生した場合に管理者に対してメールでアラートを送る仕組みを備え、トイレでの休憩抑止も期待できるという。アラートを出すまでの時間は変更可能だが、1時間程度が目安になっているそうだ。

初期費用は0円で、月額使用料は個室1部屋ごとに450円となる。また、これとは別にスペース単位で4600円が必要。スペースのカウントは「男子トイレに1つ、女子トイレに1つ」といった形になるとのこと。料金は「他社のプランを研究し、競争力を付けた」(原田氏)。

トイレ節水管理:月額数百万円単位の水道料金節約事例を紹介

「KDDI IoTクラウド~トイレ節水管理~」は壁面に設置した人感センサーとフラッシュバルブを組み合わせ、利用者の滞在時間によって水量を調節するとともに、水量データからフラッシュバルブの状態監視等を行うIoTソリューション。

バルブからゲートウェイまではZigBeeでデータを集約し、LTEネットワークを経由してクラウドにデータをアップロードする仕組み。説明会では導入前後の水道料金の変化として、オフィスビルでは620万円から140万円に、商業施設では月1100万円から460万円に削減できた事例が紹介された。節水効果だけでなく、流し忘れ防止にも対応できるという。初期費用は0円で、月額使用料は2300円~6000円となる。

主な質疑応答
――トイレソリューションは他社含め商品化が相次いでいるが、今回発表した商品の強みは何か。
原田氏:
通信回線、クラウド、データの取得まで全てを手掛けている。また、空室状況だけでなく節水管理もあわせて提供している点が特徴。
――トイレの空室予約などの機能はあるのか。
原田氏:
技術的には可能。ご要望があれば対応していきたいが、このぐらい(本日発表した内容)がコアニーズだと思いサービスを開始した。
――トイレの扉に取り付けたセンサーの電源は。
原田氏:
電池式で、2年ほど持つ。また、管理画面で電池の残量が確認できる。
――トイレ長期滞在のアラートは管理者にしか飛ばないのか。
原田氏:
管理者にのみ飛ぶ仕様となっている。プライバシーの問題があり、利用者側への通知は行わない。
――(デモで使われたトイレは空室の際はドアが開いているが)空室時もドアが閉まっているタイプのトイレはどうするのか。
原田氏:
そのタイプに適合したセンサーを別途用意している。実際にご要望をいただいており、トイレの状況に応じて対応している。ただ、今回のデモでお見せしたセンサーで、多くの場合は対応できると思う。
デモンストレーション
洗面台の下に設置されたゲートウェイ
BLEとWi-Fiの変換装置
節水量のイメージ
扉に設置されたマグネットセンサー(使用中の状況)
利用状況の管理画面
人感センサー