先月出揃った通信キャリア3社の決算から、今回は設備投資の動きを整理してみたい。
2016年度における第3四半期(2016年10~12月期)までの各社の設備投資額はNTTドコモが3,994億円、KDDIは2,969億円、ソフトバンクが1,825億円で、3社合計は8,788億円となり、進捗率が60.8%となった。前年同期間は3社合計が9,774億円で、同63.5%となり、3社合計では若干、下回る形になっている。
キャリア別にみると、NTTドコモは2016年度に5,850億円を計画し、通信事業には5,600億円を見込む。2015年度の5,952億円に比べ、投資額は微減であるものの、他キャリアに比べ、高水準で、安定的といえる。現状、設備投資の効率化や低コスト化に努めつつ、「PREMIUM 4G」エリアなどの拡大を進め、第3四半期までに3,994億円を投下し、進捗率は69.0%と前年同期間を大幅に上回った。
KDDI(au)は2016年度に5,600億円を計画していたが、第3四半期に5,300億円へ下方修正した。モバイルのみをみると、期初計画は3,500億円であったが、下方修正の影響から3,200億円と推定する。すでに上期で工事進捗に遅れが発生しており、投資計画が後ろ倒しになっていた。
元々、2016年度は下期偏重としていたが、第3四半期も低調であり、第4四半期は大幅な工事需要が予想される。ただ、第4四半期の進捗も芳しくないという声もあり、進捗次第では、モバイル向け投資が3,000億円規模に落ち込む可能性も高い。
ソフトバンクは過去のIR資料から2016年度の国内通信事業に3,900億円を投資する計画であった。第3四半期までの進捗をみると、上期、第3四半期ともに前年同期を大きく下回っており、2016年度は大幅な投資縮小になる見込みで、3,300億円と推定した。第3四半期までの進捗率はKDDI(au)とともに50%半ばを記録し、両社の工事進捗の遅れが浮き彫りになっている。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて3月10日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |