MVNOが携帯キャリアのデータ通信ネットワークを借りる際の利用料にあたるパケット接続料が改定され、各社の数値が出揃った。
最新のパケット接続料(レイヤー2接続、10Mbpsの月額)は、NTTドコモが67万4818円(前年度比14.0%減)、KDDIが85万8335円(同10.6%減)、ソフトバンクが94万8803円(同17.6%減)となった。
接続料は「適正利潤を加えたネットワークコスト」を「データ伝送容量から算定される総帯域幅」で割って計算される。各社軒並み接続料が値下げとなったのは、計算式の分母にあたるトラフィックが動画コンテンツの普及などで増加したことが大きい。また、MVNOを後押しすべく、これまで算出上あいまいだった「適正利潤」の計算方法を総務省が昨年度に見直したことも一因と考えられる。
ちなみに、今回発表された数値は2015年度の実績から算出されたものであり、2015年度の貸し出しに対して適用される。つまり、スタートしたばかりの2017年度の接続料が最終確定するのは2019年3月なのだ。毎年度の改定で都度遡及精算が行われるとはいえ、MVNO各社は2年近く先まで仕入れ値が確定しない不安定な状況で事業展開しなければならない訳だ。
話を戻そう。接続料改定が行われるこの時期は、MVNO各社が大きくプラン変更を行うタイミングだった。今では「3GBで1000円前後」のプランが平均的だが、3年ほど前は同じ値段で利用できるデータ量は0.5GB~1GBほどで、かつ1000円前後に収まらないものさえあった。MVNO各社は接続料改定を見越して値下げやデータ増量を繰り返してきた。
ただ、以前と比べると大がかりなプラン変更が少なくなった印象がある。これは利用者がMVNOに求めるものが、単なる価格やデータ量だけにとどまらなくなってきたことが背景にある。端末、店舗、サポート、通信品質、コンテンツ、フィルタリングなど、通信キャリアと同じ使い勝手を求めるユーザーも少なくない。通信キャリアの接続料改定で浮いたコストで何を強化するのかが、今後の各社の趨勢に影響を与えそうだ。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて4月7日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |