週刊モバイルビジネス通信(3/31~4/7):

話題の「個人間送金アプリ」、主要3サービスの長所と短所

1週間のモバイル関連ニュースを振り返る「週刊モバイルビジネス通信」。今週は個人間送金アプリを取り上げたい。水曜日には、三井住友銀行出身の鷹取真一氏が代表取締役社長をつとめる株式会社Kyashが個人間無料送金アプリ「Kyash」iOS正式版の提供開始を発表するなど、新たな動きが出始めた。

そこで、類似サービスの「LINE Pay」「paymo」も取り上げ、3サービスを比較してみたい。

◆Kyash
○ 本人確認不要、送金はクレジットカード決済
× 受け取ったお金を現金として引き出せない、現状Android非対応

「Kyash」は、クレジットカードを事前に登録し、支払時に都度決済を行う方式。受け取ったお金は、バーチャルクレジットカード「Kyashカード」の支払に充当できる。また、モバイルSuicaへのチャージも可能。プラスチックカードは発行されないため現時点では実店舗では利用不可だが、将来的には店舗にも対応させる方向という。

本人確認が不要で手軽に利用できる反面、現金として引き出せない点がデメリットとなる。

◆LINE Pay
○ 事前チャージの方法が多彩、受け取ったお金は現金として引き出せる
× 本人確認が必要、チャージでクレジットカードが使えない

「LINE Pay」は、あらかじめ「LINE Money」としてチャージしたお金を送金する手法を採用する。チャージの方法は銀行口座振替やコンビニ支払、Pay-easy、ローソンレジ支払など多彩で、受け取ったお金を現金として引き出すこともできる。また、プラスチックカード「LINE Pay カード」(JCB)の支払に充当できる。

自由度が高いため、本人確認が必要となる。銀行口座を登録するか、免許証等の画像をアップロードして行う。送金のためのチャージ方法にクレジットカードは選択できない点もデメリットだろう。

◆paymo
○ 本人確認不要、支払側はアプリも不要。お金は現金として引き出せる
× 請求がないと送金できず、レシート写真の撮影が必須

元Gunosyの木村新司氏が立ち上げたAnyPayの「paymo」は、ワリカンに特化したアプリだ。支払方法はクレジットカードによる都度決済。サービス開始当初はアプリのダウンロードやクレジットカードの登録が必要だったが、4月からウェブサイト上でも支払えるようになった。

なお、paymoは個人間送金ではなく「債務への支払」という立て付けになっている。そのため請求者から請求がないと支払えず、債務証明としてレシート写真の撮影が必須となっている。


以上、主要3サービスの内容を取りまとめてみたが、それぞれ一長一短があるのが現状だ。また、いずれも送金手数料を無料にしているが、将来にわたって無料でサービス提供を継続できるのかも注目点だ。いずれにしても、現金選好が強いといわれる日本で、個人間送金が根付くかどうか、今後の動きに注目していきたい。

【今週号の目次】
週間ニュースダイジェスト
3/31(Fri)
  • ファーウェイが16年度(1~12月)業績を発表。グループ売上高は前年度比32%増の5216億人民元(約8兆7316億円)、純利益は同0.4%増の371億元(6211億円)。2016年度のスマートフォン出荷台数は1億3,900万台。
    - http://www.huawei.com/jp/news/jp/2017/HWJP20170331A
  • 総務省、「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」について情報通信審議会から一部答申を受けたと発表。
    - http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000292.html
4/1(Sat)
  • U-NEXTとヤマダ電機の合弁会社、Y.U-mobileがMVNO「ヤマダニューモバイル」の提供を開始。常時200kbpsのシンプルプラン(月490円)から、30.3GBプランまで6プラン。
    - https://ynmobile.jp/
  • エックスモバイル、MVNO「もしもシークス」店舗で都内初となる浅草店をオープン。25GBプラン「ギガ放題」(月3600円、基本料別途)も開始。
    - https://www.mosimosi.co.jp/
4/3(Mon)
4/4(Tue)
  • 楽天と米国Blackstorm Labs Inc.が共同出資し設立された楽天ゲームス、HTML5を用いたソーシャルゲーム事業「RGames」を正式開始。「パックマン」や「スペースインベーダー」をモチーフにしたタイトルなどを投入。
    - http://corp.rakuten-games.com/
4/5(Wed)
  • UQ mobileが「iPhone SE」128GBの取扱を4月8日より開始と発表。32GBモデルは3月25日から取り扱っていたが、ラインナップを拡充。
    - http://www.uqwimax.jp/information/201704051.html
  • ビックカメラが家電小売業で初の「ビットコイン」決済を4月7日より開始と発表。ビックカメラ有楽町店とビックロ新宿東口店の2店舗に試験導入。ビットコイン決済時のポイント還元は現金と同率に設定。
    - http://www.biccamera.co.jp/ir/news/pdf2017/pr-170405.pdf
  • Kyash(キャッシュ)が個人間無料送金アプリ「Kyash」iOS正式版の提供を開始。SNSやメールの連絡先があれば、相手がアプリを利用していなくても請求・送金が可能。受け取ったお金は送金で使えるほか、カードレスタイプのVISAデビット加盟店で利用できる。2020年までに国内1000万超を目指す。代表取締役社長の鷹取氏は三井住友銀行出身。
    - https://kyash.co/news/pdf/Kyash_pressrelease_20170405.pdf
4/6(Thu)
  • プラスワン・マーケティング、MVNO「FREETEL」で他社製SIMフリースマホを4月13日より取り扱うと発表。端末代と通話かけ放題を含む通信料などをパッケージ化した「スマートコミコミ+」の選択肢として。ASUS2機種と、ファーウェイ、富士通、VAIOが1機種ずつ、計5機種。
    - https://blg.freetel.jp/news/18890.html
4/7(Fri)
今週の注目記事
  • 「AbemaTV」にしかできない"オンデマンド動画"の正体--CA藤田社長に聞く(CNET Japan
  • 【トップは語る】"メード・イン・東京"のスマホ目指す(SankeiBiz
  • 日本の中古iPhoneが海外へ転売されている? 実態を見てきた(ITmedia
  • 格安スマホ、一瞬で淘汰される危うさも(ITpro
  • 格安スマホのY!mobileとUQ、CMはど派手だけど...(ITpro
  • TJC、中国メーカー「シャオミ」の正規代理店に(ケータイWatch
  • 自動運転の通信技術、規格を巡る主導権争いで火花(ITpro
  • 電話番号からIMEIまで 携帯電話網で使われるさまざまな「ID」(ITmedia
  • 「モバイルフォーラム2017」で感じた、MVNOに求められる責任(モバイルビジネス通信
    通信キャリア 今週の主な報道発表
    3/31(Fri)
    • ワイモバイルからソフトバンクの4Gスマホに番号移行した場合の特典を追加。従来は各種手数料免除だが、さらに通信料金から1000円引(24ヶ月間)も追加。(ソフトバンク
    • 4月1日からの人事を発表(ソフトバンク
    4/3(Mon)
    • ワイモバイルが「PHSからの契約変更事務手数料無料プログラム」を開始。PHS料金プランから、スマホプランS/M/LまたはケータイプランSSへ変更した場合、契約事務手数料が無料に。(ソフトバンク
    • スマホ・携帯で納付書のバーコードを読み取り決済を行う「モバイルレジ」に口座受付サービスの機能を追加。(NTTデータ
    • 2017年度 ソフトバンク入社式あいさつ(骨子)(ソフトバンク
    • 2017年度 NTTデータ入社式 社長挨拶(NTTデータ
    4/4(Tue)
    • 「自転車に関する意識調査」結果を発表(KDDI
    4/5(Wed)
    • au Online Shopで購入したデジタルコードをSNSでプレゼントできる「Onlineギフト」のプレサービスを開始。当初はニンテンドープリペイド番号とプレイステーションストアチケットの2種類で開始、iTunesコード、GooglePlayギフトコードにも対応予定。(KDDI
    4/7(Fri)
    • UQコミュニケーションズが独自店舗「UQスポット」を新たに3店舗開店。青森、福岡、熊本に。(UQコミュニケーションズ
    • NTTコミュニケーションズ、4月14日より400G伝送装置を順次導入。同社基幹網は、19Tbps以上の伝送容量を1光ファイバあたりで確保へ。(NTTコミュニケーションズ
    • NTTデータと群馬大学が「次世代モビリティ社会実装研究に関する協定書」を4月6日に締結。限定条件でシステムが全てを操作しドライバーが全く関与しない「自動運転レベル4」に特化した研究開発施設を国内大学で初めて構築予定。(NTTデータ
    • ソフトバンク、2016年8月から開始した「第2回 SoftBank Innovation Program」の選考で、国内の企業3社と協業しテストマーケによる商用化を検討。ドローンやロボット関連で。(ソフトバンク
  • [04/08 15:25] 一部加筆・誤字修正を行いました。

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