NTTドコモの新プラン「docomo with」、次の打ち手を数多く残すスモールスタートに

NTTドコモは5月24日、2017年夏モデルを披露するとともに、新料金プラン「docomo with」を発表した。既に多くの報道がなされているが、まずは改めてプラン概要を整理してみたい。

対象機種を購入して指定の料金プランおよびパケットパックに加入した場合、利用料金から毎月1500円の割引が受けられる枠組みだ。「月々サポート」など端末購入補助との重用は不可となっている。

割引が半永久的に続く点が最大のポイントで、SIMカードを手持ちの端末（SIMフリー端末や中古端末など）に差し替えて利用しても割引は継続される。適用が打ち切られるのは、docomo withの対象外端末に機種変更して端末購入補助を受けた場合に限られる。

夏モデルで対象機種に選定されたのは「arrows Be F-05J」と「Galaxy Feel SC-04J」の2機種で、arrows Beの発売開始にあわせて6月1日からdocomo withの契約も可能となっている。

この新プランの狙いはどこにあるのだろうか。列挙してみたい。

まずは総務省からの要請に対する「解」が挙げられる。総務省が過度なキャッシュバックの抑制を強く推し進めるのは、家計負担を軽減すべく、浮いた原資を月額料金値下げに回させるためである。

しかし、一律に基本料金を値下げしてしまえば経営への影響が避けられない。そこで特定端末に限定した施策が打ち出されたのだろう。

値引き金額の水準にも経営への目配せがうかがえる。例えばiPhone 7 Plusの月々サポートは2,808円（新規契約）で、最大6万7392円の割引が受けられる。docomo withでこの金額に達するには3年9ヶ月かかる計算だ。月々サポートが減額される機種変更で計算しても3年2ヶ月かかる。NTTドコモ 吉澤社長は「今年度は数十億円規模の減収になると見ている」と語るが、利用者負担の軽減を打ち出しつつ、その実ドコモ側にもメリットが生まれる可能性すらある。

また、同じ端末を長く使い続ける利用者の救済策でもある。サブブランドが「1980円、ただし1年間だけ」など複雑なプランを打ち出す中、「ずっと1500円引き」というメッセージはシンプルかつストレートだ。

視点を中長期にうつせば、通信と端末の分離の第一歩でもある。従来の利用料金には、端末の定期的な機種変更を前提に端末値引原資分が上乗せされていたが、docomo withではその原資を「1500円の値引き」で"見える化"した。限定的ながら、セットと分離、両方のプランが揃った格好だ。

最後に、今後他社からも対抗策が出てくるだろうが、このdocomo withには次に切れるカードがたくさんある点も見逃せない。単純に割引額を増額させる手もあるが、SIM単体での契約解禁、iPhoneなど高額端末への適用解禁、端末購入補助との併用、既存顧客への適用解禁など、多くの打ち手が残されている。他社の動きにあわせ、したたかに次の矢を放ってこよう。サブブランドが優位に進めていた競争環境が、新プランで大きく変動しそうな気配だ。

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