総務省は、平成29年度版の情報通信白書を公表した。今回は「データ主導経済と社会変革」という特集テーマを取り上げ、スマートフォンの普及状況やフィンテック、シェアリングエコノミー、といった新サービス群の動向やポストスマートフォンなどの考察が行われている。
今回は、本白書に取り上げられているデータの中から、通信トラフィックと通信料金の関係について紹介していきたい。
スマートフォンの保有率では、通信利用動向調査を基に、個人のスマートフォンの保有率の推移をみると、2011年に14.6%であったものが、2016年には56.8%と5年間で4倍に上昇した。年齢層別では最も保有率の高い20代の94.2%を筆頭に、30代で90.4%、13~19歳で81.4%、40代で79.9%、50代で66.0%と平均値(56.8%)を上回っているが、60代は33.4%、70代で13.1%、80代以上で3.3%と年齢層が高くなるに従い保有率は低くなっている。
尚、携帯会社の中ではKDDIがスマートフォン浸透率を公表しているが、それによると2016年度末時点で61.8%としている。
次にスマートフォン普及による移動通信トラフィックと通信料金の推移についてみていきたい。スマートフォンは、それまでの携帯電話と比較して画面が大きく、多くの文字、画像や動画が見やすい。これに伴う情報量の増加を移動通信のトラヒック(1加入者あたりの月間延べトラヒック)は、2012年には542MBであったのが、2017年には2,886MBと5年間で約5倍に増加している。
また、2016年の世帯あたり電話通信料の支出額は9万6,306円と、2011年の8万566円から19.5%増となっている。この間、固定電話は3万806円(2011年)から2万4,086円へと減少していることからも、世帯消費に占める移動電話の割合が年々大きくなっていることが伺える。
携帯会社としては、総務省の指導もあり、NTTドコモの「docomo with」やKDDIの「auピタットプラン」など新プランを投入し割安感を演出する一方で、上記にあるように通信トラフィックの伸びは、通信料金の伸びを遥かに上回るペースで増加している。
社会インフラとして通信サービスが果たす役割がますます重要となっているからこそ、通信トラフィック増加によるダウンなどのトラブル回避へ向けた施策へも目を配っていく必要性があるのではないだろうか。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて8月4日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |