通信キャリア3社の決算が8月7日までに出揃った。そこで今回は、各社の最新の通信契約数増減の動向を整理してみたい。
2017年度第1四半期(2017年4~6月期)における各社の契約数増減は、KDDIが56.9万増、NTTドコモが23.4万増、ソフトバンクが62.1万減となった。
KDDIは2016年度の第1四半期に続き、今年度も第1四半期は純増数でNTTドコモを抜き3社間でトップとなった。
しかし、その大半は法人向け通信モジュール等とみられ、個人向けau回線数を示す「パーソナルセグメント」のau契約数は9.3万増にとどまった。パーソナルセグメントのau契約純増数が四半期ベースで一桁まで落ち込んだのは2014年度以降で今回含め2度しかなく、主力のスマートフォン契約が伸び悩み傾向であることがうかがえる。
なお、新料金プラン「au ピタットプラン」「au フラットプラン」の投入でMNP獲得も含めて好調に推移していることが伝えられているが、7月14日開始のため第1四半期の数字には反映されていない。第2四半期以降、反転トレンドとなるか注目である。
NTTドコモの純増数は23.4万で、2014年度以降の四半期ベースで最低の数字を記録した。
NTTドコモの純増数は"ドコモブランド"とMVNOの合計値だが、同社代表取締役社長 吉澤和弘氏は今期の動きを「(ドコモブランドは、前年同期比で)ほとんど横ばい。MVNOあるいはモジュールは弱含み」と決算会見で語っている。
通信モジュールを除いた純増数は、2014年度以降四半期ベースで50万を絶えず上回っていたが、今期は19.8万に急減した。ドコモブランドが横ばいだとすると、これまで順調に成長してきたMVNO市場に変調が起きた可能性がある。
ソフトバンクは、同社が重視するスマートフォンやタブレット、モバイルデータ通信端末などが含まれる「主要回線」は4.8万の純増だったが、PHSが20.0万減、通信モジュール等が46.8万減で、全体で62.1万減となった。2016年度の年間純減が93.9万だったことを考えると、純減幅の広がりが顕著だ。
一方で解約率に目を転じると、持ち直しの傾向がみられる。スマートフォンと従来型携帯に対象を絞り込んだ「携帯電話の解約率」は0.79%で、auの0.91%を下回った。ソフトバンクがauの解約率を下回るのは2四半期連続だ。
なお、解約率は各社の定義や置かれた状況がバラバラのため注意が必要だ。auとソフトバンク(携帯電話)の解約率は、算定の対象端末をスマートフォンと従来型携帯に限定している点は同一だ。しかし、ソフトバンクは、ソフトバンクとワイモバイルのあいだでMNP制度を用いて乗り換えが行われた場合は解約とはみなさず、解約率の算定から除外している。サブブランドへの流出が解約率に影響を及ぼさない仕組みになっているのだ。
NTTドコモはMVNOの影響のみ除外しており、他社が対象外とするタブレットなども含まれる。実際、今期は0.67%で解約率が上昇しているが、これは2年前の春に拡販したタブレットが更新月を迎え解約が膨らんだためで、その他の要因はないとしている。
以上3社の動向をまとめたが、KDDIは個人向けau回線数の伸び悩み、NTTドコモはMVNOの変調の可能性、ソフトバンクはPHSや通信モジュールの大幅減と、各社ともに純増数の足を引っぱる課題が浮き彫りとなる結果となった。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて8月22日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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