MVNOの販路の1つであるリアル店舗。その中でも、家電量販店などの一部スペースに設置する「カウンター」ではなく、MVNOサービスの販売を主軸に据えて開通手続にも対応する専門ショップ(以後「単独店舗」と呼ぶ)の出店傾向に異変が起きている。
主要MVNO事業者の出店状況をまとめたところ、10月末時点での店舗数は277で、6月末に比べて48店舗の増加を記録した。一見すると順調に拡大しているように見えるが、増加の大半は「UQ mobile」(UQコミュニケーションズ)の「UQスポット」が牽引しているのが実態だ。
KDDIのサブブランドである同社の店舗数を除外したMVNOの店舗数だけを比較すると、11月末時点の店舗数は6月末に比べて3店舗ながら減少に転じたことが分かった。
最大の要因は、楽天が通信事業を買収した「FREETEL」の「フリーテルショップ」の閉店が相次いでいるためだ。一時は約50まで店舗数を拡大しているが、直近では約半数にまで減らしている。関係者によれば、来年1月にFREETELの通信事業を楽天モバイルへとブランド変更するのにあわせ、大半のフリーテルショップは閉鎖される方向だという。楽天モバイルの店舗にリニューアルする場合はごく一部に限られるとみられる。
単独店舗を取り巻く環境は厳しいが、今後はどのようになってくるのだろうか。1つのヒントとなりそうなのが、12月1日に楽天が開催した事業概況説明会での内容だ。
楽天モバイルは現在、単独店舗(同社は「専門ショップ」と呼ぶ)を61店舗、量販店カウンターなど併売店を120店舗有しているが、獲得比率は単独店舗が約6割を占めているという。出店コストが抑えられる併売店だが、獲得数では単独店舗に及ばない実態が明らかになった。この状況はすべての事業者に当てはまるものではないが、オンラインでの販売も含め、販路をどのように構築していくのか、今後も各社の動向を注視していきたい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて12月1日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |